<コラム>『新宿野戦病院』最終話

もう残り時間も少ない、限られた時間しかない最終回だというのに、前回から引き続いて未知の新型ウイルス“ルミナ”を克明に描いて、これ、ホントに、今回で、終わんの?!?!状態で、それに加えて、そんな最中起きたクラブの床崩落事故、第5話で登場した今や官房副長官の川島(羽場裕一)との対峙、舞(橋本愛)の父である歌舞伎町の風俗王(松尾スズキ)のお出ましなどなど、などなど…。

うん、ホントに、これ、マジで、最終回拡大スペシャルもなしに、通常尺で、終わる気なの!?大丈夫なの?!正気なの!?とかなんとか、もろもろ、いろいろ、その辺を細かく語りだせば、言いたいことは山のようにあるわけですが、それよりなにより、僕がとてつもなく衝撃だったのは、あの、何ともいえない、得も言われぬ、絶妙な感情にさせた、あの、終盤の、“逮捕”、ですよ!!!!

(ここから『新宿野戦病院』にほぼ関係なく、なぜか、1999年の名作『アフリカの夜』(フジテレビ)を語りだし、その“ネタバレ”までかましちゃうので、めんどくさいって人は回避してください。『アフリカの夜』は、今作の河毛俊作監督も演出陣に加わっていて、なんなら、ともさかりえさんも出てて、トリッキーでキュートでエッジのきいた“住人役”を演じています。ほんとに名作なので、気になった方は、ぜひFODへ!!)

テレビドラマ好きの僕にとって、三本の指に入るくらいの、個人的超名作だと思っているドラマが『アフリカの夜』。

この作品は、 “メゾンアフリカ”という小さなアパートに住む、結婚式当日に夫が逮捕されてしまった傷心の主人公(鈴木京香)や、その主人公にかつてプロポーズしたことがある元カレ(佐藤浩市)など、さまざまな年齢や境遇の“住人たち”が織りなす大人の群像劇。

で、その住人の中に、DVに耐えかねて夫を殺害してしまった、時効寸前の丸ちゃん(室井滋)っていうキャラクターがいて、だけど周囲はその女性の素性をまったく知らず、その、丸ちゃんの、普通の誰かとはまったく違う、“たくましさ”みたいなものを感じて、みんな慕っていたのだけれど、ドラマのクライマックス、待ち受けていたのが、案の定、丸ちゃんの素性がバレて、時効あと数時間のところで、ついに、“逮捕”、されてしまう…という展開。

うん、で、これを見ていた当時の僕(高校1年生)は、丸ちゃんは夫からDVを受けていたんだし、それって正当防衛だし、そもそも住人たちにとって心の拠(よ)りどころになるくらいの人物だし、何より、時効寸前の、その寸前の、その瞬間まで、いろんなことに耐えてきたんだから、“逮捕”しなくったって、いいじゃないか!!!逮捕しない、そんな描き方も、あるじゃないか!!って、思ったんです。

いや、うん、とはいえ、だけど、そうはいっても、丸ちゃんの罪は“殺人”で、決して許されることじゃないのはわかっています。で、一応、テレビドラマだし、公共の電波にのせる作品なのだから、どんな形であれ、法に触れている犯罪者を、 “逮捕”しない、という選択肢はない…。

テレビドラマの宿命として、“逮捕”もやむなし…か…って、やんややんやだけど、とどのつまり、その、丸ちゃんの、“逮捕”を、感情ではイヤだ!って否定していても、頭の中ではやむなし!って肯定していたわけ、なんです…。

だけどだけど、あれから、25年…四半世紀が経った、今作の『新宿野戦病院』の、あの、クライマックスの、え!?もう、残り時間、あと10分くらいじゃね!?尺、足りんの!?の最中、描かれた、あの、ヨウコ(小池栄子)の、“逮捕”、みなさん、ご覧になりました?ねぇ。ご覧に、なられました!?!?(そら見ただろ!)

あの、感情でも頭でも、イヤだ!っていう、“否定”、しかない。あの、まったく理解できない、理解が追いつかない、あの、“逮捕”、ご覧になりました!?!!(しつこい)