宮藤官九郎さんは、この作品で何を描きたかったんだろう?って、ずっとわからなかった
うん、いや、でも一応、ちゃんと補足すると、とはいえ僕だって、途中までは、いくらヨウコがアメリカの医師免許を持っていたとしても、日本での医療行為は禁じられているわけだから、それに対する何かしらのペナルティは、テレビドラマとして描くべき派、だったんですよ!??
で、その、本来、日本では医療行為を行ってはいけない人物が、何度も何度も、医療行為を行ってきた…というその事実は、いくら物語とはいったって、“いい話”、ってことだけで、サラッと流してはいけない…ってのは、僕だってそう、思ってましたよ?!
だけどだけど、終盤にかけて、ヨウコは日本の医師免許の勉強もしていて、その姿が一生懸命でハートウォーミングにも描かれていて、最終的には合格もしてたし、で、そもそもこのドラマ、カテゴリでいえば、コメディ、なわけだから、なんか、もう、その辺の描き方は、“しない”方針なのかな?って、別に描かなくても、誰も文句言わないし、言わせないパワーを持つ作品になったし、それって大した問題ではないんじゃないか?って、むしろ、それを描かないことこそが、挑戦ではないか?とすら、僕は、勝手に、心から、そう思って、納得していた…っていうのにさ…。
ホントに、マジで、これ、あと十数分で終わる話なの?の最中に、突如、描かれてしまった、あの、“逮捕”。あの、逮捕劇。もう、みなさん、ご覧になられました?!(しつこい)
うん、その、え!?今、ここで!?このタイミングで!?っていう、物語構成の衝撃もさることながら、それよりなにより、そこで、見事に描かれていたのは、感情でも頭でも、なぜ?どうして?!理解ができない!?な、あの、“逮捕”!!!
うんいや、日本の医師免許を持ってないんだから逮捕されて然るべきなのは、わかる、わかるよ!?だけど、そうはいっても、なぜ逮捕されなければならない!?って、誰にとっても、視聴者にとっても、“?”=わからない!!からこそ、生まれた、あの、“感動”が巻き起こっちゃう、“逮捕”!!
“逮捕”ってさ、さっきの『アフリカの夜』の丸ちゃんもそうだったんだけど、その姿って、やっぱり犯罪者としての“末路”なわけだから、どうしても情けなく、見えちゃうんですよ。いくら、ドラマの中で、中盤までみんなを元気づけて、みんなが大好きな丸ちゃんだったとしても、“逮捕”って、すっごく、情けないし、悲しく映るもの、なんですよ。いや、そら当然、なんですけどね。
だけど、あの、ヨウコの“逮捕”ときたら、これまで11話かけて、描いてきた、ヨウコの“カッコよさ”が、全部、目いっぱいに詰まっていて、“逮捕”されているのに、しかもそれが理解できていないのに、なぜか“その先”の、“カッコよさ”が、描写されてしまう!!という!!奇跡!!!!
“逮捕”されたことで、本来であればすべてが失われてしまう、人間性が失われてしまう、そんなシーンになるはずなのに、損なわれないどころか、人間性が増してしまう!!!という、奇跡!!
嗚呼、僕の『アフリカの夜』の、あの、“逮捕”考から、25年も経つと、こんなふうに描かれるまでになるんだ…という、 “逮捕”描写の、進化!!!(?)(そもそも、丸ちゃんは殺人で、ヨウコは医師免許法違反?だから、比較にはならないんだけど…)
はい。というわけで、突然ですが僕、このドラマ、最終回の中盤まで、宮藤官九郎さんは、この作品で何を描きたかったんだろう?って、ずっとわからなかったんですよ(急に)。
宮藤官九郎さんなりの医療ドラマを描きたかった?本来あるはずがない爆笑を手術シーンに入れたかった?もしくは、コロナ禍を経ての教訓?はたまた、前作『不適切にもほどがある!』(TBS)に続く風刺!?などなど、描きたいものの一番は、なんなんだろう?って、思ってたんです。だけどそれは、否定的な意味ではなく、その描きたい何か?を捉えられないことこそが、むしろ面白さや奥の深さだな…と思っていたんです。
ですが、僕的結論が、今回、出ました。それは「自分らしく生きる」です(真面目か!)。
例えばヨウコにとっては、命を助けたいという医療行為が、違法だろうと何だろうと「自分らしく生きる」だったのかな?と思ったし、享(仲野太賀)にしても、あんなに一方的に人を好きになったり、ポルシェが鼻につくいけ好かない男、なのに、まったくそうじゃない、愛すべきキャラクターだったのは、いついかなるときも「自分らしく生きる」をまっとうしていたからなんだな…と思ったんです。
で、それは、ほかのキャラクターたちも、もちろんそうなんですが、このドラマを俯瞰(ふかん)してみても、今作がこんなに笑えるのに“医療ドラマ”として成立していたのは、舞台である新宿歌舞伎町が「自分らしく生きる」を許容してくれる、そんな懐の大きな街だったからなんだな…と。
で、とはいえだけど、最終回。ヨウコが「自分らしく生きる」には、新宿歌舞伎町では難しくなり(そもそも法律の問題は日本なわけで…)世界へ…っていうあの、ラスト。日本もまだまだ、その「自分らしく生きる」っていう点では、追いつかない部分もあって…っていう…っていう??つまり、僕も、日本も、もっともっと、頑張らないと!!っていう??(意味わからん!!)
最終的にやり逃げ、言いたい放題で、意味不明ですが、ま、そんなことより、なにより、最高に笑えて、最高に面白いドラマ、ありがとう!!ってこと、なんです!!(結局)