<コラム>『新宿野戦病院』第5話
これまでの、第4話まで体感してきた、笑っていいのかなんなのか?っていう“感情迷子”が、まるで序章だったかのように、今回の第5話はもう、そういうレベルじゃない!どこに、何を、どう、感じればいいのか?わけがわらなすぎる!!とてつもない感情迷子回!!!
いやだって、身元不明のホームレスの命と、国会議員=VIPの命…さぁ、どっちの命を優先させる?っていう、なんていうか、ともすれば、どっかで見たことがある…言ってしまえば、ありきたりで、陳腐にすら思えてしまう、その二つの対象を用いた、“命の平等”問題を、まさかこんなにも克明に、そしてとてつもなく丁寧に、なんなら、ありきたりとかなんとか言ってしまったけど、むしろこんなドラマ見たことない!!とすら思えてきちゃう、そんな感覚にさせてしまう、ストーリーテリングの巧さと、何より奥の深さ、ですよ。
で、その、身元不明のホームレスの命と、国家議員の命、どちらが助かるのか!?っていうその結末は、案の定、国会議員の命が優先されてしまうわけなんだけど、だけどだけど、そこには、今回の伏線ともいえる、“助からない患者にかける言葉”=笑いで脳を錯覚させる…でもって、みんなが“笑って”心臓マッサージを続ける…。
笑ってはいるんだけれど、その置かれている状況はとてつもなく絶望…映し出される光景とその感情の違いでもって、誰かを優先したことによって失われてしまった命…ってのを、より扇情的に演出…しようと、している??
あの、いつだって、陽気だったヨウコ(小池栄子)すらも、泣いちゃってるし…!?で、ここへきて、毎話おなじみの、舞(橋本愛)のモノローグも効いてきて、そのモノローグでもって、シゲさんの一生を語らせることで…!?なんだか?!急に!?THE医療ドラマあるあるの!?大感動物語に、包まれそうになってる??
いや、だけど、その感動も、決して押しつけではない、ウェットかドライかで言ったら、ドライだし、そのドライってのは、今回の演出担当で、僕の敬愛する河毛俊作監督の持ち味!!
で、この、普通にいい感じの音楽かけて、泣かせればいい、それだけの力を持ってるシーンでも、決してそうはさせまい!!とする、そのドライな演出こそが、それこそがTHE河毛流!!!(何知ってんだよ)
とかなんとか、偉そうな目線も交えつつ、だけどだけど、そんな複雑な感情も入り混じりつつも、“命の平等”を改めてここで、さらに訴えかけてくる社会性のあるエピソードで、ちょっといろんなことに思いを馳(は)せた方が、いいのかな…社会問題について、少し思いを巡らせた方が、いいのかな??とはいえ、だけど、ここは一旦、自分の中で、感動的なドラマ、として処理して、物語の中に浸ってしまおう!!(感情おかしくなってるし)
うん、それが正解だ!!!考えるよりも前に、“命の平等”について、ここまでドラマティックに描いてみせた、このドラマの余韻に浸ってしまおう!!うん、そうしよう!!!っていうか、浸らせて!!!シゲさんを偲ばせて!!!とかなんとか、やんややんやしてたら、「(シゲさんを偲ぶのは)医者の仕事じゃねー!カンケ―ねー!」って、急激に冷めて、サラッと去ってしまう、ヨウコ、一体なんなん!?!
感情が迷子になって、絶句してしまった直後に…
こっちの感情…なんていうか、とりあえず、今は、感動しとこう♡とか思っちゃった僕のこの、感情、どうすればいいんですか???(知らんがな)で、そんな、感情が迷子になって、絶句してしまった直後にCMが入って、それがあけてすぐ、あの、僕を絶句させてしまったヨウコの姿を、舞が、「サバサバして熱いんだよ…」って、さらって表現してしまう、このドラマのスマートさ!!!たまらん!!
うん、そう!!笑っていいの?とか?泣いていいの?とか、考えたほうがいいのかな?とか、そういうことじゃない!!ドントシンク、フィール!!っていう、そういう、そういうこと、ですよね?!(たぶん違うと思う)