<松岡修造 コメント>
――収録はいかがでしたか?
僕は、テニスの現役を退いてもう30年近くになります。『くいしん坊!万才』も25年以上やってきて、いわば“プロフェッショナル・イーター”としての伝え方ができるか、という挑戦でもありました。
普通の食番組やクイズだったら、僕じゃなくてもいいのでは…と思ったのですが、僕がやるなら「応援」が軸になるんです。日本の食を応援していく。そこには日本の素晴らしい食材と本気で食に向き合っている人がいる。料理を味わうだけではなく、人間味も味わう。その部分をどれだけ魅力的な形で伝えられるかを目指しました。
この番組が、一つの新しい食のムーブメントになってくれるとうれしいなと思っています。
――この番組の見どころは?
大きな軸は、日本の食です。日本にはこういう宝物がいっぱいあるのだと伝えたいですし、世界と比べられている今、日本が第一線の食の力を持っていることを感じていただきたいです。もう一つは、「ビーフかフィッシュか」で悩むところですね。
この番組は勝ち負けではなく、どちらも応援している。だからこそ、出演者も視聴者も「どっちにしようか」と一緒に悩むことで、食の本当の魅力が見えてくると思います。
さらに、食という軸に加えて、シンキングタイムでのダンスや衣装など、ちょっとした遊び心や面白さがあるところも見どころですね。
――MCとしての手応えは?
現役を退いた当時は、バラエティに出ること自体あまり考えていなかったんです。基本的には出ないと決めていましたし、出ても年に一度くらいという感覚でした。そんななかで、今回このお話をいただいて、挑戦しようと思った理由は「食」でした。
『くいしん坊!万才』で長年やってきた思いもありますし、フジテレビでその続きをどういう形で表現できるのかという気持ちもありました。もちろんバラエティの面白さもありますが、それ以上に、食の奥深さや職人さんの思い、素材の力をどこまで本気で伝えられるかが大事だと思っています。
MCがどんな料理が出てくるか知らない番組って、なかなかないですよね。僕自身がロケに行ったもの以外は、何も知らない状態で現場に入って、感じたことをそのまま表現する“参加型MC”でした。
出演者と一緒に「何が出てくるんだろう」「どんな味なんだろう」と共有できるのがすごく新鮮で、むちゃくちゃ楽しかったです。それと今回は、衣装や演出も含めていろいろ提案させてもらいました。
ただ、自分のやりたいことを通すというよりも、そのアイデアが番組に合っているかどうかが大事。ほとんどは採用されないんですけど(笑)、スタッフのみなさんがブラッシュアップしてくれて、音楽やダンスも含めてどんどん形になっていく。
MCとして場を回すというより、みんなと一緒に番組を作り上げていった感覚でした。
――松岡さんにとって「食の魅力」とは?
僕は、世界中行っていますけど、日本の食はやっぱり世界に誇れるものだし、宝だと思います。ただ、これは海外に行かないと気づけない部分もあるんですよね。だからこそ『くいしん坊!万才』でも、日本の食を伝えたい、感じたいという思いでやってきましたし、今回の番組もそれにすごく近い感覚があります。
今、日本食は世界的にも注目されていますが、ただヘルシーだとか、おいしいというだけではない。その背景には自然があって、人がいて、文化がある。そういったものが全部つながっているのが日本の食の魅力だと思っています。
最終的には、なぜ日本が世界から評価されているのか、その中心にあるのが「食」なんじゃないかと感じてもらえたらうれしいですね。
――松岡さんが「食」に目覚めたきっかけは?
やっぱり両親の影響が大きいですね。特に、母は料理に本気で向き合っていて、料理人の方から学びながら、夕食は3時間以上かけて作ってくれていました。
僕も一緒に手伝いながらその時間を過ごしていたのが、すごく印象に残っています。父も食に対してはすごく大事にしていて、いろんなお店に連れていってくれましたし、食を通して会話をする時間が家族の中にありました。
その時間が僕にとっての宝物で、今でも「どこかに食べに行きたい」「誰かと食事をしたい」という気持ちは変わらないです。食はただおいしいだけではなくて、人との絆を深くしてくれるものだと感じていますし、その原点が今の自分につながっていると思います。
――視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
今回の番組では、味だけではなく、人や文化、そこにある思いも含めて伝えたいと思っています。どんな人がどんな気持ちで作っているのか、その“人間味”の部分を感じてもらえたらうれしいです。
そして何より、思いっきり悩んでほしい。本気で悩んで、最後は自分で決断してほしいんです。
迷うということは、それだけ両方に魅力があるということなので、その中で自分がどう感じるのかに気づくことが大事だと思います。その体験が、自分自身を知るきっかけになったり、日本の食の魅力を改めて感じることにつながっていけばうれしいです。
