50年の歴史に幕を閉じた『くいしん坊!万才』の歴代くいしん坊たちが集合し、「一生忘れられない味」を語り合いました。

1975年に放送を開始し、「いい味、いい旅、いい出会い」をテーマに全国各地の郷土料理、名物料理、特産物を訪ね、その土地の歴史や文化、人々の暮らしにふれながら「食べることの喜び」「人々との出会いの楽しさ」を伝えてきた『くいしん坊!万才』。

2025年7月には、現代のグルメ番組の礎(いしずえ)となった功績を称えられ、テレビ番組の創り手たちが自ら審査する賞「ATP賞テレビグランプリ」の特別賞を受賞しました。

番組の最終回として放送された『50年間ありがとう!くいしん坊!万才 一生忘れられない味SP』(11月22日放送)には、歴代のくいしん坊たちが大集合!全6599回、約26000食の中から、「一番おいしかった料理」や「忘れられない味」を発表しました。

懐かしの映像に高島彩が「父も喜んでいると思います」

1975年スタート当初の『くいしん坊!万才』では、初代・渡辺文雄さん、2代目・竜崎勝さん、3代目・友竹正則さん、4代目・宍戸錠さん、5代目・川津祐介さん、6代目・梅宮辰夫さん、7代目・村野武範さん、8代目・辰巳琢郎さん、9代目・山下真司さん、10代目・宍戸開さん、11代目・松岡修造さんが、歴代のくいしん坊を担当。

左から)宍戸開、辰巳琢郎、高島彩、松岡修造、村野武範、山下真司

最終回のスタジオには、村野さん、辰巳さん、山下さん、宍戸開さん、松岡さん、そして竜崎さんの娘の高島彩さんが大集合。松岡さんは、「最終回ということですが、50年のお祝いじゃないですか。賑やかに先輩の思いも引き継ぎながら」と笑顔で意気込みました。

番組が始まった1970年代は、街角にファストフードやファミリーレストランが立ち並びはじめ、日本の食生活が大きく変化した時代。番組の歴史を懐かしい映像で振り返りつつ、昔と今の番組の作りの違いや、撮影技術の変化についても盛り上がります。

左から)高島彩、11代目・松岡修造

竜崎さんの時代には、今やグルメ番組では定番となった、食べる人の目線で料理を見せる「箸入れ」カットが発明されたと映像とともに紹介されると、娘の高島さんも「父も喜んでいると思います」と目を細めました。

左から)4代目・宍戸錠さん、3代目・友竹正則さん

当時はまだ撮影カメラがフィルムの時代。機材も大きく一般家庭の台所に入るのも大変だったと説明されると、村野さんは「料理と紀行を兼ねているのは画期的」と、改めて番組がテレビ史に残した軌跡を称えます。

左から)6代目・梅宮辰夫さん、5代目・川津祐介さん

さらに、番組にハプニングはつきもの、ということで、爆笑ハプニング集も紹介されました。歴代の中で最も「ハプニングに愛された男」として、村野さんのハプニング名場面が流れるとスタジオは爆笑の渦に。絶妙なタイミングで音が鳴ったり、自転車が通り抜けたりと、次々と起こるハプニングに笑いが起こります。

他にも、「正直すぎる男」として紹介された山下さんの名場面集、スマートな辰巳さんの“やんちゃ”ぶりが発揮された回をはじめ、梅宮さん、宍戸錠さん、宍戸開さんらの俳優陣による本気の演技シーンも紹介され、スタジオを沸かせました。

中でも、47都道府県を制覇したくいしん坊の松岡さんは、“アツい男”として有名。心がアツいだけでなく、アツアツの料理にも異常なほど強いことでも番組を盛り上げてきました。「熱いですよ」と注意されながらも、食べ続けて出演者を引かせる場面はもはや恒例となっていました。

そんな松岡さんに、スタッフから「熱い料理は箸で食べればいいのに、手づかみで食べるのは困ります」とタレコミが寄せられ、松岡さんが苦笑いする一幕も見られました。

左から)7代目・村野武範、9代目・山下真司

歴代くいしん坊たちの「一生忘れられない味」も紹介されました。

村野さんは、山形県の銀山温泉のところてんに豆腐を混ぜた料理「豆腐てん」を紹介。スタジオで実食すると、35年前にも堪能した味に「素晴らしい!」と目を輝かせました。

歴代くいしん坊たちの「一生忘れられない味」を紹介

梅宮さんが「生涯一番の料理」と語っていたという、山形県高畠町の「ひきずりうどん」をはじめ、辰巳さんが「こんなの食べたことない」と絶賛した石川県輪島市の「花咲くズワイガニ」と、長野県上田市の「松茸の山男焼き」の映像が流れると、スタジオの一同はうらやましそうな表情で画面にくぎ付けに。

そんな「松茸の山男焼き」をスタジオで実食することに。1人1本食べられると高島さんから伝えられると、思わず松岡さんはガッツポーズ。「香りがすごい」「ジューシー」「めちゃくちゃうまい」と口々に感想を語り、松茸にかぶりつくくいしん坊たち。辰巳さんは久々の味に「涙が出てきますね」と感動の声をあげました。

左から)10代目・宍戸開、8代目・辰巳琢郎

山下さんは、山梨県下部町(現・身延町)の「戦争を物語る 焼きとうもろこし餅」と、ヘビが苦手で戸惑ってしまい、なかなか食べられなかった、ウミヘビを煮込んだ沖縄県の「イラブ―汁」を紹介。

宍戸開さんは、群馬県中之条町の姉妹が作る熟練の味が堪能できる「姉妹そば」を紹介。そして、「うまい!」を連発していた静岡県伊東市の、アジのたたきで作るお茶漬けにいかの塩辛をトッピングした「アジのまご茶」をみんなで実食することに。「おいしい」「塩からがポイント」と味わっているところに、26年前にアジのまご茶を振る舞ってくれた島田昌洋さんも登場すると、宍戸開さんと熱い握手を交わしました。