<松坂桃李 コメント>

お話をいただいたときに「(伊藤)樹選手という人を純粋に知りたい」という思いがありました。樹選手の姿が、今回のドキュメンタリーを見ている方たちに、何かしら伝わるものが確実にあると思ったので、「参加させてもらえるのであれば、ぜひ」という感じでした。

見ていて「つらい」と思う感情が失礼になってしまうくらい、樹選手のアイスホッケーに対しての愛や熱量、その歯車を止めない純粋な気持ち・メンタルに、こちらが逆に勇気づけられてしまう。そういったエネルギーを感じました。

自分も子どもを持つ身なので、お母さまを見るだけで泣けてきました。

事故があって、お母さまが「車の運転が怖い」とおっしゃっていましたが、それを乗り越えてでも息子さんを支えたいという、強い思いにはものすごく共感できます。自分の恐怖心を犠牲にしてでもサポートしたいという母の思いに、強く胸を打たれました。

『パーフェクトワールド』というドラマで、伊藤選手と同じ「樹」という役名で演じさせていただきました。樹選手ご本人がドラマを見て「これ、俺やん」と思ったと聞き、僕も縁を感じました。

今回のドキュメンタリーには映っていない、車いすユーザーの方の葛藤や悩み、日常的に出てくる支障…。僕も、そういったことを『パーフェクトワールド』であくまで役柄を通してではあるのですが、少なからず知ることができたので「自分にできることがあれば」という思いはありました。

見どころは、冒頭から最後まで全部です。樹選手の魅力全開ですし、お母さまもすごくチャーミング。何より、2人の絆(きずな)、親子愛が本当に胸を打つものがあって、とても勇気づけられ、逆にパワーをもらってしまいます。

自分の抱えている問題が、すごくちっぽけに感じてしまうくらい、この11年間のドキュメントには魅力があります。些細(ささい)なことでめげちゃいけないな、と僕自身も改めて思いました。