11月28日(金)、『ザ・ドキュメント 歌いたいんや~西成・メダデの家族とともに~』が放送されます。
ナレーションは、キムラ緑子さんが務めます。
西田牧師のもとで“家族”として生き直す信徒たち
大阪・西成で、血のつながりを超えた“家族”を築く、型破りな牧師と信徒たちがいます。
野宿者が多く暮らす大阪市西成区に、ひときわ異彩を放つ「メダデ教会」があります。
「あんたたち、昔何してたんや。路上でひっくり返って、ゴミと一緒じゃ」。容赦ない言葉で信徒たちに説教する、牧師の西田好子さん(75)は、元小学校の教師。野宿者との出会いをきっかけに「はぐれ者たちに希望を」と、60歳で牧師に転身し「メダデ教会」を設立しました。
信徒は、元犯罪者や野宿者など、その大半が実の家族と絶縁状態にある人々。彼らは、親代わりの西田牧師に支えられ、同じマンションで互いに世話を焼きながら、「メダデの家族」として暮らしています。
人生最後の願いは「50年ぶりに母に会いたい」
そんな信徒たちの中心人物である安倍政道さんは、元暴力団員。母親の再婚に反発して中学生で家を飛び出し、組同士の抗争で殺人罪で服役した過去を持っています。
出所後、公園で偶然耳にした西田牧師の熱い説教に、思わず涙がこぼれたという安倍さん。以来、西田牧師を「姐(ねえ)」と慕い、教会で生き直すことを決意。
安倍さんは、西田牧師に諭され続けるうち、中学2年で家を飛び出して以来、憎しみを抱いていた母親への気持ちに少しずつ変化が。「『おふくろ、ごめんな』と思うようになった」と語ります。
重度の糖尿病を患っている安倍さんは、50年ぶりに母に会いに行くことを夢見るようになります。
「声か、命か」西田牧師に非情な宣告
安倍さんを筆頭に、病を抱える信徒たちを病院へ連れて行ったり、叱咤激励したりと献身的に支えてきた西田牧師。しかし、そんな彼女を病魔が襲います。ステージ4の食道がん。がんは、声帯の近くにあり、手術をすれば「牧師としての命である声を失う恐れがある」と宣告されます。
讃美歌や演歌を交えた、全身全霊の説教で信徒たちをはげまし、導いてきた西田牧師。「声がいる、どうしても声がいる」。家族と絶縁し、社会からはみ出した“血のつながらない家族=メダデ教会の信徒たち”を支えるために、自分の“声”は絶対になくしたくないと、悲痛な思いを訴えます。
これまで多くの信徒たちを支えてきた西田牧師が初めて見せた弱さ。教会存続の危機に、彼女を支えようと、“血のつながらない家族=メダデ教会の信徒たち”と、離れて暮らす西田牧師の息子たち、2つの“家族”が動き出します。
シングルマザーとして2人の息子を育てあげた西田牧師ですが、牧師になってからは“メダデの家族”を最優先にしてきました。そんな母親の入院をきっかけに、息子が複雑な本心を明かします。
西田牧師は「声」と「命」のどちらを選ぶのか。そして彼女が思い描く「家族のあり方」とは――。多様化する現代社会で、新たな家族の形を問いかけます。
『ザ・ドキュメント 歌いたいんや~西成・メダデの家族とともに~』(関西ローカル)は、11月28日(金)25時15分より、カンテレで放送されます。
