僕とタカシは、本当に真逆のタイプで、役作りのヒントを得たくてクランクイン前に歌舞伎町のトー横に足を運びました。そこで「こんな生き方をしている人もいるんだ」と肌で感じたというか…「翻弄された」という感覚に近い、言葉にできないほどの衝撃を受けました。
その体験を通して、タカシは誰にでもフレンドリーで「今を楽しく生きられるなら、それでいいじゃん」という感覚を大切にしている人物だと理解できるようになりました。
演じるうえで意識していたのは、話し方です。台本上では、ロンは先輩で敬語を使う設定ですが、きっちりした敬語ではなく語尾に「〜っす」をつけた、少し砕けた言い方にしました。そうすることで相手との距離を自然に縮め、誰とでも打ち解けてしまうタカシの空気感が出ればいいなと思っていました。
タカシと似ていないと思うのは、人との距離感ですね。僕は意外と人見知りなところがあって、先輩から「敬語じゃなくていいよ」と言われても、なかなか切り替えられないタイプなんです。
体育会系の環境で育ってきたこともあって、上下関係はかなり厳しく身についています。タカシのように誰とでもフラットに接する距離感は、やっぱり全然違うなと感じました。
一方で、誰かに憧れたり、影響を受けるスピードが早いところは、少し似ているかもしれません(笑)。
僕は宮城県出身で、中学3年生の修学旅行で横浜を訪れた思い出は、今でも強く心に残っています。友だちと中華街で小籠包を食べたり、タピオカを飲んだり、食べ歩きが楽しくてずっとはしゃいでいました。
ただ、最後にちょっとした事件があって(笑)。財布を盗まれてしまい、「都会って怖いな」と本気で思いました。
友だちと中華街を走り回って探したんですけど、結局見つからなくて。でもその出来事も含めて、横浜にはキラキラした明るさと、そうじゃない一面の両方がある街なんだなと感じました。
この作品には、今のZ世代で「やりたいことが見つからない」「何かに夢中になれない」と感じている人たちの心にも、きっと届くものがあると思います。家族の要素もしっかり描かれていて、なかでもロンが家族の問題とどう向き合っていくのかという点は、個人的にも一番注目してほしいポイントです。
若い世代の物語でありながら、世代を越えて共感できるテーマが詰まっているので、物語の着地までぜひ見届けていただけたらうれしいです。
それともう一つの楽しみ方として、タカシにも注目してほしいです。毎回、「なんだこいつは?」と思われるような登場の仕方をしていると思いますが(笑)、画面の中では必ずしも目立つ位置にいるわけではなく、背景にいることも多いんです。ぜひ、視線を少しだけうしろにずらして、「ウォーリーを探せ」ならぬ「タカシを探せ」。そんな感覚で楽しんでもらえたら、うれしいです。
