<和田雅成×崎山つばさ インタビュー>

――和田さんと崎山さんといえば、ドラマから舞台化もされた『あいつが上手で下手が僕で』(日本テレビ)で、芸人コンビ・わらビーを演じた間柄ですよね。

和田:ハハハ(笑)、ありがとうございます。

崎山:今日はわらビーとしての取材でしょ?

――そんな二人が今作では恋敵に扮するそうで…。

和田:恋敵であるかどうかも正直、わかっていなくて。どちらかというと、エウリディケ(水嶋凜)とオルフェ、エウリディケの父親(栗原英雄)の三角関係に、僕には見える。その中で「危険でおもしろい男」がスパイスになり、物語が広がっていくという。

崎山:僕もそうですね。僕が演じる役柄は、エウリディケがオルフェという人物と結婚しているという事実は知っているけど、エウリディケを奪ってやろうというより、彼女が魅力的だから近づきたい、話したいという気持ちのほうが強い。

僕はこの「エウリディケ」という作品が純愛の物語だと思っていて、そこには父と娘の愛もあれば、オルフェとエウリディケのラブストーリーでもある。さらに、一方通行な愛だとしても、「危険でおもしろい男」にとってもラブストーリーなわけで、彼なりの純愛をきちんと演じたいと思っています。

――作品はエウリディケとオルフェの仲睦まじい場面からスタートしますが、和田さんのそんな姿は新鮮に感じます。

和田:そういうシーンを演じるときって、役者間ではまだ微妙な距離感だったりするんですけど、ハグをするシーンでも僕らがやりやすいように、白井さんが「グッとやって」と演出をつけてくださるので、稽古初日から気を使わずに演じることができています。

エウリディケとオルフェが重ねてきた年月を説明するような場面はありませんが、僕たちが稽古期間で積み上げてきたものはそのまま舞台上に出ると思うので、ラブシーンを演じるというより、愛し合う二人にとって当たり前の行為に見えたらいいですね。

――そんな様子を崎山さんはどう見ていますか?

崎山:(顔の前に手を置き、指の隙間から覗くように)こういう感じですよね(笑)。

身体的な距離が近いから二人が恋人同士に見えるというのではなく、どれぐらいの年月を共に過ごし、その間には想定外の出来事があって、そこを乗り越えてきたからカップルに見える。そういう次元にいくんだろうなと思いながら、僕は眺めています。

台本には「ここで抱き合う」と書いてあっても、稽古を進める中でそれ以外のシーンでもごく自然と抱き合う場面なども出てくるのではないでしょうか。

雅成も言っていましたけど、最初の取っ掛かりが今回はとても早く、二人の間で生まれたものが舞台上では表現されると思うので、僕としてはそこを壊すつもりで臨みたいです。