ナレーション収録を終えた中島さんにインタビュー。物語の内容にちなみ、自身の気持ちの表現方法、感情との向き合い方や音楽に込めた思い、プライベートの過ごし方などについて聞きました。

中島美嘉「このご夫婦はすごくいい関係だと思う。簡単なことではない」

――前後編を見て、特に印象に残った方はいますか?

ケンタさんの奥さまですね。このご夫婦はすごくいい関係だなと思って。ケンタさんは依存症と闘いながら、また家族と暮らしたいと願い、奥さまはギャンブル依存のことを理解しようと努めている。これは実際、簡単なことではないと思います。

――ギャンブル依存症は、自分の気持ちを人にうまく伝えられないことも関係している、という話がありました。依存症ではなくても、気持ちを表すことが苦手な人は少なくありません。中島さん自身はいかがですか?

その場で感情を出すのは、苦手なほうかもしれないです。何か起こったとき、そこで感じたことことをいちいち誰かに伝えるのはどうなのかなってすごく考えてしまって。同じことが何度も繰り返されるようだったらみんなに共有しようかなと、なるべく冷静に、客観的に物事を見るようにしています。

なので、自分の中に気持ちを溜めて、あとでまとめて話すことが多いです。そのためにも、自分が感じたことを常に忘れないでいようと思えているので、これはこれで悪いことではないかなと思います。

――自分と向き合うなかで、「寂しい」「自分の居場所がない」と口にする入寮者も。多かれ少なかれ、誰もが抱えたことのある感情だと思います。中島さん自身はこういう気持ちに、どう向き合いますか?

私もそう感じると抜け出せないことが多いので、うまく向き合えるタイプではない気がします。「もうここまで考え抜いたからいいや!」と思えるまで、とことん考え続けてしまいます。

――それが音楽に現れることも? 

たまにあります。歌詞にしたり。よく、「考えても仕方ない」とか「忘れればいい」「気にしなくていい」と言ってくれる人もいますが、私はそれができなくて。気にしないって結構難しいと思うんです。

特に私の場合は、ちゃんと自分の感情を持っていないと歌につながらないので、歌にすることで消化しているかもしれないです。ライブで使えれば良し、みたいな(笑)。

――これまで多くの人が中島さんの歌に共感し、勇気づけられてきたと思います。人間の弱さに理解を示したい、寄り添いたいという思いも楽曲に込められているのでしょうか。

人の弱さは、なるべく理解したいと思っています。すべては無理だとしても、理解してから発言したり歌ったりしたいと思っているので、日々のいろいろな感情や空気を、できるだけ拾うようにしています。疲れますけど(笑)。たぶんこれは私の得意分野なので、寄り添うというよりは、好きでやっている部分が大きいと思います。

――感情を拾うために、さまざまな人と積極的に交流を図ることも?どのように過ごすことが多いですか?

プライベートでは大人数でいるより、気心知れている人と過ごす時間のほうが多い気がします。でも、1人の時間も絶対に必要です。頭の中をまとめる時間がほしい。なので、いつも人と一緒にいたり、暇だから誰か呼んだりするタイプではないですね。

――1人で過ごすときの癒しや、自分を甘やかすご褒美などがあれば教えてください。

私の場合は、猫です(笑)。この子のために朝早く起きたり、2階から「ニャー」って鳴き声が聞こえたら、ドアを開けなきゃ!ってすっ飛んで行ったり。もう奴隷です(笑)。猫の家に住まわせてもらってるという気持ちで家にいます。

でも、もしこの子たちがいなかったら、私はたぶん家でボーッとしているだけだったと思います。猫がいると一緒に遊んだり、ご飯をあげたり、部屋をきれいにしたり、ちょこちょこ体を動かしますし、なぜか早朝に起こされますし、健康にいいのかなと(笑)。猫のおかげで、にこやかに過ごせています。

予告動画&無料配信

YouTube「フジテレビドキュメンタリー」で、『ザ・ノンフィクション』の予告を配信中。9月21日(日)14時~「ギャンブルをやめたくて〜また 家族と暮らしたい〜後編」予告。

9月14日・21日放送「ギャンブルをやめたくて〜また 家族と暮らしたい〜前・後編」(語り:中島美嘉さん)が、10月5日までTVerFODで無料配信されます。

【前編】中島美嘉「気づいていないだけで、身近に同じような人がいるかも」ギャンブル依存の克服を目指す人々に思いを寄せる