――ナレーションの最後に「(伯爵から)不思議と勇気をもらえる」とありましたが、尾野さんはどう感じましたか?
たぶん私だけではなく、たくさんの人が伯爵から勇気をもらえると思います。一見すると、クスッと笑わせてれくれる不思議な男性ですが、実は「ふん、ふん」と納得させられたり、「これでいいんだ」と思わせてくれたりすることが多いなと思って。
伯爵は、アルバイトはなかなか上手くいきませんが、自分で会社に電話したり、続けるか辞めるかを判断したり、いろいろなことを自分で進めていますよね。仕事を辞めることが珍しくない、辞めるのに代行を使う、何でもありな今の世の中を見ると、伯爵はすごく真っ当なのかもしれないと思いました。
それに、やりたいことや夢を持っていて、まわりを楽しませようとしている素敵な方だと思います。
尾野真千子「こんなに大変なんだ」俳優と飲食店店員の“二刀流”
――伯爵は配送ドライバーの仕事に挑戦。尾野さんも俳優として活動しながら、沖縄の居酒屋さんで働き始めました。まったく違う世界に飛び込むのは、どんな気持ちでしたか?
初めは戸惑いましたけど、これまでとは違う仕事、違う環境、違う人たち…まったく初めてのみなさんと関わることができて、すごく楽しかったです、最初は。やっぱり仕事って楽しいことだけではないので、続けていくといろいろな苦労も出てきて(苦笑)。
ありがたいことに毎日お客さんが来て、「美味しかった」「来てよかった」「会えてよかった」と言ってくださるので、「ありがとうございます!明日も頑張ります!」という気持ちになります。と同時に、飲食店ってこんなに大変なんだ、みんなすごい仕事をしているんだなと本当に尊敬します。
でも、この経験のおかげで、台所に立つお芝居がスムーズにできるようになりました。たとえば「きゅうりを切ってください」って言われたら、前までは「誰が切りますか?手元のアップはどうしますか?」と思っていましたが、今は何の迷いもなく「はい、はい〜」って切り始めたり、なんなら「何切りですか?」って聞いたり(笑)。
私、調理シーンに自信を持ち始めているな、私がやってきたことは間違いじゃない、(演技の幅が)広がったなって感じています。プラスになったことのほうが多いですね。
――前回、尾野さんが“語り”を担当した「私の父のなれのはて~全てを失った男の楽園~」(2024年4月放送)の平山さん(当時73)、そして伯爵、どちらも続きが気になりますね。
お2人とも、本当に気になります。特に伯爵は、私と同郷ということもありますし、共感できる部分がたくさんあったので、今後を知りたいです。これからの姿も追いかけてほしいなと思っているので、もし続編が決まった際はご期待ください(笑)。その時、この世の中もどんなふうに変わっているか、楽しみですね。
予告動画&無料配信
YouTube「フジテレビドキュメンタリー」で、『ザ・ノンフィクション』の予告を配信中。8月31日(日)14時~「伯爵と呼ばれる男〜58歳のアルバイト探し〜」
8月24日放送「あなたに帰るところはありますか~塀の前で待つ人~」(語り:三浦透子さん)が、9月7日までTVer・FODで無料配信されます。