ナレーション収録を終えた尾野さんに「生き方が本当に面白い」という伯爵の印象や、自身との共通点について聞きました。また、現在、俳優として活動しながら沖縄の居酒屋さんで働く尾野さんに、まったく違う世界に飛び込んだ際の心境も尋ねました。
尾野真千子「とても楽しく読ませていただいた」伯爵に興味津々
――やさしくて気さくで、どこか憎めない伯爵に、思わずクスッとしながらナレーションを読んでいましたね。
とても楽しく読ませていただきました。伯爵の生き方が本当に面白くて。「人生のほとんどを仕事に捧げたお父さんと、人生のほとんどを『働いたら負け』と言う息子(=伯爵)のやりとりは、不思議なほどにポジティブでした」というナレーションが好きです(笑)。
私は奈良県出身なので、奈良にこんなに面白い人がいるんだ!という驚きもありました。たぶん私も変わり者だと思われているので…。奈良には、ほかと違うことをしたがる人が多いのでしょうか(笑)。奈良っていいところだなと思いましたし、自分自身のことも、いろいろ思い出しました。

――どんなことを思い出したのでしょう?
昔、この仕事に就くにあたり、ある人に「あなたに芸能界は場違いだ」と言われたことがあって。すごくショックで、今でもずっとその言葉が頭に残っています。でも、励みにもなりました。いつか「素敵な仕事だね」って思わせたくて。もう、その人は亡くなってしまったのですが。
伯爵も、もしかしたらまわりに「素敵だね」って思ってもらいたくて、“伯爵として”生き続け、いろいろなことに挑戦しているのかもしれないと思いました。
伯爵を見ていると、自分を見つめ直すような感覚になる
――ほかにも、伯爵に共感するところはありましたか?
伯爵、ちょいちょい笑いを挟むじゃないですか。アルバイトの面接で「これはレシート…じゃないわ。履歴書でございます」と言って履歴書を渡したり(笑)。この伯爵の気持ちが、ちょっとわかる気がします。私も高校受験の面接で、みんな真面目なことを話しているのに、面接官に向かっておちゃらけてしまったり。まぁ、落とされましたけど(笑)。
伯爵を見ていると、自分を見つめ直すような感覚になるので、どこか似ているのかもしれません。私もちょっと変わっているのでしょう。沖縄の店で働いているときも、気づいたら野菜に話しかけていたり、食洗機に向かって愚痴を言っていたりして、みんな、そんな私を見てクスッてなるんです(笑)。
――伯爵の交際相手である彼氏も登場します。
ナレーションでは淡々と「お相手は、彼氏でした」と読みましたが、たぶん昔だったら「彼氏でした!」と、“まさか”のニュアンスが入ったでしょう。世の中の変化に合わせて、読み方もこうやって変わっていくんだなと思うと、面白いですよね。