――お互いの俳優としての印象はいかがですか? 

中島:『おっパン』は僕にとって初めての連続ドラマ単独出演作品だったので、ドラマ撮影のときは緊張していましたが、とにかく泰造さんから学ぶことだらけでした。

本番になると“泰造さん”ではなく“沖田誠”になっていて。僕のセリフの発し方によって、泰造さんの返し方も変わって。その場の反応をすごく大事にされているのを見て、「お芝居ってなんて楽しいんだ」と思いました。

泰造さんは爆笑するぐらい面白い演技もされるけれど、大事なシーンは心にグッとくる。いろいろ考えながらストイックに演じられているのだと思います。

原田:颯太くんは「連続ドラマ単独出演は初めてです」と言っていたけど、「こいつウソついたな」って思うぐらい上手かったです。僕がどんな動きをしても、全部ちゃんと“大地くん”として返してくれる。ドラマのときから演技に迷いがなくて、僕はすごくやりやすかったです。

僕はその日の撮影が終わった後、いつも「さっきのお芝居で良かったのかな?」とか「もうちょっとできたんじゃないかな?」と、いろいろな「?」を持ち帰ってしまうんです。

でも颯太くんは、その場で「ヤバい、今の泰造さんカッコよかったです」とか、聞こえるか聞こえないかぐらいの音量で言ってくれるの。「俺、良かったんだ。やったぜ!」って思える(笑)。褒め上手だから、きっとほかの役者さんも颯太くんと一緒だと、やりやすいと思います。「あぁ良かった」って思いながら帰れますから。ナイスです!

――中島さんは意識して、そう言っているのですか?

中島:いえいえ、本当に良いなと思って自然と言っています。

原田:そういうの、大事だよね。

中島:二宮監督もそうなんです。その場で「今の表情、良かった」とか「それ面白い」とか、逆にリクエストがあれば言ってくださいますし。まさに二宮監督が『おっパン』のあたたかい雰囲気を作ってくださっていると思います。

原田泰造「謝りたい過去がいっぱい」自分に向き合えた時間に感謝

――ドラマ撮影時と比べて、お互いに“アップデートしたと思うところ”があれば教えてください。

原田:颯太くんは何も変わってないです。いつでも颯太くんのまま。壁がないというか、誰とでも常にフラットに話せる。

中島:泰造さんも本当に変わらずお優しいです。ご自分では「朝は苦手」とか「人と壁を作っちゃう」とおっしゃっていますけど、それを一切感じさせないくらい、いつも優しいです。まわりに自然な気配りをされているのを見て、素敵だなと思いました。

原田:本当?でも朝は本当に苦手で。この映画の告知コメント動画、颯太くんと2人で朝から撮ったけど、うちの奥さんが動画の俺の顔見てさ、「すごい、むくんでる!寝起きじゃん!」って(苦笑)。

中島:そうだったんですね?全然分からなかったです(笑)!

原田:そうでしょ?ちゃんとメイクさんが直してくれたから。俺と奥さんにしか分からない程度だけど、実はむくんでたんだよ。

――映画では、かつて誠のパワハラまがいの言動によって退職した部下が、誠の取引先として現れます。大地は円との遠距離結婚で、寂しく不安な毎日。役としてそれぞれの苦しみに向き合うなかで、どんなことを感じましたか?

中島:大地くんは、ドラマでは太陽のように輝かしくて、みんなの頼れる存在でした。でも今回は円先輩への寂しさを見せるなど、さらに人間味が増して、また違う一面を見せていると思います。

だからこそ繊細に丁寧に演じたくて、監督とも何度も話し合いました。もちろん「やっぱり大地くんってこうだよね」という、持ち前のポジティブなところも描かれているので、注目していただけると嬉しいです。

原田:誠は、自分ではアップデートできたつもりだったけど、今回は、アップデート前に自分のせいで辞めさせてしまった相手にどう向き合うべきか悩みます。

たぶん誰しも、人に何かしてしまった過去ってあると思うんです。その人と再会して、何事もなかったように会話するけど、心の中では「俺、あの時言いすぎちゃったよね?」って気まずくて。でも「昔はごめんね」って謝って、「何のこと?」って返されたら恥ずかしいし…いろいろ考えちゃいますよね。

僕も今考えると、謝りたい過去がいっぱいあるんです(苦笑)。誠を演じたことで、僕自身も、そのことに向き合えたと思います。感謝ですね。

撮影:YURIE PEPE

【原田泰造】ヘアメイク:東まり子、スタイリスト:上井大輔

【中島颯太】ヘアメイク:朴映宣(Luana)、スタイリスト:中瀬拓外

(C)練馬ジム| LINEマンガ・2025映画「おっパン」製作委員会