ナレーション収録を終えた武井さんにインタビュー。今回、はじめて“語り”を担当した『ザ・ノンフィクション』について、そして、小錦さんの年下妻・千絵さんに印象、夫婦の絆について感じたことを聞きました。

武井咲「私も結婚し母になったことで、千絵さんのお母様の気持ちも考えさせられました」

武井咲

――初めての『ザ・ノンフィクション』の“語り”はいかがでしたか?

以前から『ザ・ノンフィクション』はよく見ています。どこか自分に置き換えたり、自分が経験したことがないことを知ったり、いつか(俳優として)別の人生を演じる時につながる部分があったりするんじゃないか、とそんな視点で感じていました。

今回、小錦さんの奥様の目線のドキュメンタリーだとうかがいまして。小錦さんが出演していた『にほんごであそぼ』(Eテレ)も見ていましたし、私自身ハワイが大好きということもあって、小錦さんの(妻・千絵さんから腎臓を移植したという)ニュースも知っていました。

お相撲さんとして、身体を張り、命をかけてやってきた人をそばで支える奥様について、こういった形で届けられるのは、視聴者としてもすごく興味深かったです。

(自分の腎臓を提供するのは)ただならぬ決断だと思いますし、私も結婚して母になったことで、千絵さんのお母様の気持ちについても考えさせられました。

何かを決断すると、そこから(派生して)いろんな人の気持ちが交わるんだなって。正解・不正解はなく、決断していく難しさというところに、グッとくるものがありました。

そうやって感情移入してしまうところも、ドキュメンタリーならではですし、携わることができてうれしかったです。

――特に感情移入したのはどんな場面でしょうか?

一番は、千絵さんがお母様に内緒で(腎臓移植を)決断されたところです。(脳梗塞で倒れた)お母様を心配する気持ちもあるけれど、弱っていく旦那さんの姿を目の当たりにして、どちらのことを考えても苦しい。

今まではお母様に相談して背中を押してもらうことが多かったんじゃないかと思いますが、今回は、その一番の味方であるお母様に内緒にしなければ、というのは、つまり、自分一人で決断するということ。

大きな決断を一人で抱えるという、その苦しさは読んでいても、喉の奥がツーンとしました。

――一方で、小錦さんから千絵さんへの感謝と深い愛情も描かれます。夫婦の絆については、どんなことを感じましたか?

まず純粋に、「お相撲さんってこんなに命をかけてやられるものなんだ」と驚きました。

千絵さんも出会ったころから「(小錦さんの)体は限界だった」とおっしゃっていましたけど、そういう状態を何年もそばで見ていたからこそ、小錦さんへのリスペクトがあって。そして、小錦さんから奥様への愛や絆も感じられて…。

もう誰も太刀打ちできない、お二人だけの大きな愛を感じました。