<コラム>『最高のオバハン中島ハルコ~マダム・イン・ちょこっとだけバンコク~』第8話
これまで茶化しまくってきた、いづみ(松本まりか)の“パシリ体質”が(パシリ言うな!)、まさかまさか、あれよあれよと転じた挙句、こんな泣ける話が待ち受けてるだなんて…誰が想像しました?
だって、バラード調のBGMにのせて披露された、いづみの恋愛遍歴…
「初恋の幼稚園の先生は保護者と不倫して辞めた」
「初キスの相手は本命との予行演習」
「初めて付き合った同級生は3股」
「社会人で10年不倫」
「その後ようやくときめいたと思ったら結婚詐欺師」
という、“3股交際”が逆にインパクトなくね?と思わせてしまうほどの(キスしてんのに“初めて付き合った”が別なのも闇が深い)この、散々過ぎて“ドン引き”からの“失笑”になりそうな散々エピソードの披露が、まさか“泣き”に変わるだなんて、誰が想像しました?ねぇ?
そもそも、この『中島ハルコ』において、“泣ける話”に陥ること自体が皆無で(たぶん)、これまでも泣かそうとしかけておどけてみせたり、泣かしにかかろうとした次の瞬間に爆テンションで抑え込んだり、そもそも泣かそうという展開にすらしない異常テンションだったりと、そんなこんなの“泣き”がない『中島ハルコ』こそ『中島ハルコ』だったはずなのに、急にやってきた、突然の“泣き”展開!!
しかも、それが、いづみの“パシリ体質”から転じていった、見事なストーリーラインとは…。
前回ラストの深刻場面…龍くん(堀海登)がラン(GEE SUTTHIRAK)への気持ちを伝えた、あの急なロミオとジュリエット展開で、それがあまりに深刻過ぎてまったくもって『中島ハルコ』的ではない場面で、だけどもその二人の行く末に固唾(かたず)を飲む、それどころではない真っ只中、急に電話がかかってきて、「今、電話とんなよ!!」なはずなのに、ついつい電話とっちゃう“パシリ体質”過ぎるいづみ…。
で、スタートダッシュを決めたと思ったら、そっから急な「子ども預かって!」にも即対応しちゃうという、いづみの異常な“パシリ体質”を強調しまくる冒頭に失笑…だったんだけど、そっから、子どもの面倒をみながら働くシングルマザーの苦悩を描きつつの、離婚女性の理不尽や、子ども食堂関連のあれこれを描きつつの、ハルコらしい社会派展開へもっていくのか!?と見せかけて、実は、いづみに子どもを預かってもらってた理由は、働いてたからじゃなくって婚活パーティに行っていたからという、とんでもない“けしからん!!”展開になって、はいはい、今回はそれをハルコ(大地真央)が大成敗する展開なのね、とかなんとか思ってたら、いつもはちょっと的外れなこと言ってハルコに軌道修正されるのに、いつも以上に熱の入ったいづみの意見に「その通り!」って言ってくれるハルコ、という新鮮展開!!