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め8広島 (9)

「壊すのは一瞬、作り直すのに80年」日本被団協にノーベル平和賞 被爆地めぐる観光「ピースツーリズム」に注目集まる

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47都道府県それぞれにある被爆者団体の協議会である「日本被団協」が、2024年のノーベル平和賞に選ばれました。

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そんな中、注目されているのが、広島市が提唱している、被ばく地を巡る「ピースツーリズム」です。

「ピースツーリズム」は、多く観光客が、原爆の象徴でもある「原爆ドーム」に訪れる中、「他の所にも多くの被災した建物があり、みなさんに行ってもらいたい」という願いのもとに始めた取り組みです。

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広島大学平和センター ファン・デル・ドゥース・瑠璃准教授

広島の観光について研究をしている、広島大学平和センター准教授のファン・デル・ドゥース・瑠璃さんと共に、一部ご紹介します。

“当時のまま”の形を残す建物や場所

広島市には被爆当時のままの形を残す建物や、場所が数多く存在します。

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爆心地から410mと、最も近かった小学校「本川小学校平和資料館」では、約400人の児童などが犠牲になりましたが、校舎は広島市の公立小学校初の鉄筋コンクリートだったため倒壊は免れました。

1988年に新校舎を開館する際に、被爆した校舎を資料館として残したものになります。

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平和資料館として、被爆した遺物などが展示されているだけでなく、熱風で焼けた戸枠など、被爆校舎の一部が当時のままで残されています。

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また、平和記念公園にある「慈仙寺跡の墓石」は、盛り土をして建設された「平和記念公園公園」で、唯一当時の地面がそのまま残っている場所です。

――被ばくした場所を訪れる際のポイントは?
広島大学平和センター ファン・デル・ドゥース・瑠璃准教授:
まず、建物の外側の形は残っているのですが、中にいた方は亡くなっている。そして、中にあったものは焼けてなくなってしまっているということも踏まえて、考えていただきたいなと。
慈仙寺跡の墓石を見ても、墓石の上の部分は両側に落ちているんです。それだけの爆風の威力だったということ、だから人間なんてひとたまりもなかったわけです。あとは、3000軒4000軒という家がその周りにあって、慈仙寺はその街の人々の心のよりどころだったのですが、その近くにあったお寺も含めて、子供たちも一緒に亡くなってしまったということを思い浮かべてほしいです。

平和記念公園というのは、今は美しい緑の場所ですが、鎮魂の場所であり、平和への誓いの場所でもあるということを考えながら歩いていただけたらなと思います。

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MC谷原章介:
ただ訪れるだけでなく、どれだけ悲惨な事が起こったのか、どれだけ強い威力だったのか、どれだけの方が亡くなったのか、どんなことがあったのか、そんなことに思いを巡らせながら訪れたいですね。

被災箇所を残しつつ新しい建物に改築

地下室を除いて全焼した建物に改修を重ね、2020年にリニューアルオープンした、「平和記念公園レストハウス」

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地下1階部分は被爆時に近い状態で残され、1階部分には観光案内所や特産品の販売スペース、2階のカフェスペースや3階の展示室などにも原爆被害にまつわる資料の展示がされています。

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爆心地から360mの場所にあった帝都銀行広島支店。現在は、ベーカリー&レストラン「広島アンデルセン」として営業しています。

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耐震性の問題から建て替えを実施し、2020年に再オープンした際に、2階部分に被爆壁の一部を移設。さらに外観も被爆前の様子を復元し、2022年には「ひろしま街づくりデザイン賞」の大賞にも輝きました。

MC谷原章介:
こういったものが、実は街中に溶け込んで、昔のまま残っているということなんですね、広島の街は。

街中で“体感”できる

被爆した、広島鉄道の路面電車5車両のうち、651号と652号の2車両は、朝の通勤ラッシュ時に今も現役で稼働しています。

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651号は被爆した翌年の3月に改修し、がれきの町並みを電車が走っていました。この光景は力強く、人々を励まし勇気を与えたと言われています。
 “復興のシンボル”とも言われており、この電車に乗って、観光地を巡ることもできます。

広島大学平和センター ファン・デル・ドゥース・瑠璃准教授:
電車は、当時戦地に男性をとられてしまっていたので、10代の女の子たちが運転していたんです。その多くが犠牲になったのですが、被爆の3日後にはひどい傷を負った電気技師の人たちが電気を通し、電車を走らせたという話があります。
被爆した人たちを救うために、街中から外へ、そして救援物資や救援者が街中に入っていくためにこの電車を使ったと言われています。
傷ついた体のままで、色々な悩みを抱えたままで、復興の時代を生きていた被ばく者の人々が、自分の姿を電車に重ねて元気をもらったとも言われています。

新たなスポットも…

新たな名所も生まれています。
2016年にオープンした「おりづるタワー」は、広島市の新しい観光名所として作られた、原爆ドームの東隣に位置する複合商業施設です。

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中でも注目なのが、屋上展望台からの景色。平和記念公園や原爆ドームなどを一望することができます。

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来訪者が折った“折り鶴”、今年7月で100万羽を超えた

12階の「おりづる広場」では、自身で折った折り鶴を約50mの高さからガラス貼りの壁面へと落とし、折り鶴の壁を積み上げることができ、それぞれの願いが込められた折り鶴は今年7月には100万羽を超えたといいます。

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――私たちがこれからできることは?
広島大学平和センター ファン・デル・ドゥース・瑠璃准教授:
広島に8月6日に原爆が投下されて、7日にはアメリカの新聞に「75年は草木も生えないだろう」ということが出たんです。それに対して原爆の父と呼ばれたオッペンハイマーがそんなことはないと反論したんですが、広島の人たちは75年は命が育たないと聞いて、非常に落胆したわけです。
そこから、今の復興した広島になったわけです。ですから、皆さんもぜひ「おりづるタワー」の一番上まで上がって、今の広島を見ていただきたいと思います。そのときに、壊すのは一瞬、でもそれを作り直して命を育てて行くには80年かかった、だから平和というのは非常に重要なものであり、壊してはいけないものだと学んでいただきたいなと思います。


(『めざまし8』 2024年10月16日放送より)

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