初めてつかんだ芝居の仕事が「銀河鉄道の父」
――出演オファーを受けたときは、どんな気持ちでしたか?
実は、まだお芝居の経験がなかった時期に、今作の成島出監督とお会いして、役をいただきました。初めて決まったお芝居の仕事が、この作品なんです。
原作は、監督にお会いする前に読んでいたのですが、政次郎の強い家族愛が印象的でした。この物語の中に自分も身を投じられることが、すごくうれしかったですし、不思議なご縁を感じました。
――清六は、やりたい放題の兄・賢治を慕い、商売の才能を発揮して賢治の代わりに家業を守ります。どのような思いで演じたのでしょうか。
清六は、奔放な賢治とは違って堅実で、真面目な性格だったので、その雰囲気を出せるように意識しました。
――実在の人物を演じましたが、手応えはいかがですか?
難しかったです。「こうじゃない」と思われてしまう可能性も大いにあると思うので。なので、できるだけ、そこの誤差がないようにしようと思いました。清六は、のちに賢治の詩集を広めることになるのですが、そこへ至る清六の思いも、この作品では描かれているので、どう演じたら良いかすごく考えました。
清六が書いたエッセイ集「兄のトランク」(ちくま文庫)を読んで、清六の思いをなるべく感じ取るようにして、撮影に臨みました。
――清六の孫・宮沢和樹さん(※)には会いましたか?
撮影現場にいらっしゃって、「気負わずにね」という言葉をいただきました。丸刈りだったためか、「菅田さんとよく似ているね」とも言っていただきました。
(※)宮沢和樹さん:宮沢賢治の伝承や、作品・肖像の保護活動をしている「株式会社林風舎」代表取締役
――丸刈りにするほか、どんな役作りをしましたか?
その時代では、男性はほとんど下駄を履いていたそうなので、僕も慣れるために、下駄を買って履いていました。
コンビニへ行くときによく履いていたのですが…コンビニの床は硬いので、歩くとコツコツ音が鳴るんですよね。だから、店員さんに「ちょっと変わった人が入ってきた」みたいに見られたり…。でも、それにも負けず、雨ニモマケズ、じゃないですけれど(笑)、そんな気持ちで履いていました。