ナレーション収録を終えた芳根さんにインタビュー。2022年から続くシリーズを通じて見守ってきたマーヤさん一家、そしてアナスタシアさんと和真さん夫婦への思いを聞きました。

芳根京子 状況の変化に「また新たな苦しみのようなものを感じた」

――芳根さんは、これまでのシリーズ5回のナレーションをすべて担当してきました。今回の収録はいかがでしたか?

(母と姉弟が帰国した)前回の収録で一区切りだと思っていたところ、(別の場所で会った番組スタッフから)「日本に帰ってきました。続編があります」と聞いて、「え!?」と反応が出たのを覚えています。

子どもたちが「日本に帰ってこられてよかった」と思う反面、(母親の)マーヤさんはウクライナにいるわけですし、願いは家族みんなでウクライナで暮らすこと。(戦況は)何一つ変わってないけれど、家族の状況が変わってしまいました。

そして、姉弟の面倒を見る姉・アナスタシアさんと(夫の)和真さんは、一層やらなければいけないことが増えていて。大人も一緒に成長せざるを得ないという状況で、また新たな苦しみのようなものを感じながらナレーションをさせていただきました。

――家族が一緒なのがいいとはいえ、それぞれの思いがあるから、正解が見つけられないというジレンマがあります。

ご近所の方が、子どもたちが戻ってきたことを「よかった」ととても喜んでいらしたのを見て、私も同じ気持ちだなと思いました。

(ミサイルの爆風を避けられるように)バスタブの中や窓のない廊下で寝るようになったという現実をウクライナで経験してきた子どもたちを思うと、安心してあったかいお布団で寝られるというだけでも、心が救われるな、と感じました。

ただ、マーヤさんの気持ちを考えると言葉にするのは難しいのですが…。

――ほかに印象的だったシーンや言葉があれば教えてください。

子どもたちの親代わりになっている、アナスタシアさんと和真さんの頑張りがとにかくすごいと思いました。アナスタシアさん(26歳)は、私よりも年下なんです。泣きたくなる気持ちもわかります。ウクライナにいるマーヤさんと(テレビ電話で)話して、「すっきりした」と言っていたのを見て、ストレスが少しでも発散できていたらいいなと思いました。

しかも、アナスタシアさんは大学に通っているんですよね。入学するのが大変だったはずですから、やりたいことに100%向き合えていない状況はもどかしいと思いますが、そのなかで、すごく立派だと思いました。

そして、和真さんもすごいです。(人生)何周もしているんじゃないかと思うほど、子育てに対して向き合っていらっしゃる。すごく大変だと思いますけど、預かるという責任も感じていらっしゃると思います。アナスタシアさんとは違った苦しみもあるでしょうし…。みんなそれぞれに苦しみがありますよね。

――逆にほっこりした、安堵したと感じた場面はありましたか?

空港で、和真さんがアナスタシアさんの頭をポンポンするじゃないですか。あの場面にとてもほっこりしました。2人がお互いに思い合っているし、支え合っているというのが垣間見えて、ホッとしましたね。

――改めて芳根さんにとって『ザ・ノンフィクション』のこのシリーズがどんなものか教えてください。

この収録の後でしか感じない、特別な感情があります。ナレーションにもありましたが、世界にはこうした家族がたくさんいるのだと改めて突きつけられました。

自分にできることは本当に限られていて、今は思いを馳せることしかできません。それでも、やはり「知る」ことは何より大切だと感じています。

そして、願うこと。一刻も早く戦争が終わり、家族やみなさんの願いがもっと「ささやかなもの」になればいいなと思います。「あれが食べたい」「これがしたい」といった、小学生が本来抱くような当たり前の願いが、一番の願いとして叶えられる。

平和な日々に戻って、そんな穏やかな願いが叶えられる日が早く来るといいなと思いました。

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