奈緒さんが、苦しみや壁を感じながらも舞台に挑戦する理由を語りました。

確かな表現力で多彩な役柄を演じ分け、昨年は「東京ドラマアウォード2025」を受賞するなど、数々の作品で活躍する奈緒さん。2月26日開幕の井上芳雄さん主演舞台『大地の子』に出演します。

原作は、1987年から連載された山崎豊子さんによる同名小説で、1995年にドラマ化もされた名作。中国で戦争孤児となった少年・松本勝男(井上)は苦難を経て中国人教師に拾われ、中国人「陸一心」(ルー・イーシン)として育てられるも、文化大革命に伴う大きな時代のうねりに飲み込まれ…。陸一心の波乱万丈の半生を描いた物語です。

一心の生き別れの妹・あつ子(玉花)を演じる奈緒さんに、出演の意気込みや、戦争を題材にした作品に携わることへの思い、「これで自分は強くなれた」と感じた経験などを聞きました(前後編の前編)。

奈緒「舞台上でどう立つことができるのか、責任重大だなと」

――出演オファーを受けた際は、どんなことを思いましたか?

原作の連載が始まった1987年当時と比べると、今、時代は大きく変わっていると思います。だからこそ、この作品で描かれている「人間の尊厳とは何か、そして自分のアイデンティティとは何か」ということに改めて向き合いたいと、強く感じました。

――ドラマ版『大地の子』(1995年/NHK)を見たそうですが、感想を聞かせてください。

俳優として大きな尊敬と畏(おそ)れを抱きましたし、自分が役者として『大地の子』を届けることに責任を感じています。でもそれは、プレッシャーのように押しつぶされそうという意味ではなく、キャスト・スタッフみんなで一つの大きなものを抱えられることに対する喜びと期待でもあります。

――あつ子をどのように演じたいと考えていますか? 

あつ子は、今回の舞台ではストーリーテラーの役割も務めるので、お客さんと一緒に物語を歩んでいく、道標(みちしるべ)のような存在になるのではないかと思っています。ですから、自分が舞台上でどう立つことができるのか、責任重大だなと。私自身、このような役柄を演じるのは初めてなので、その立ち方を稽古で見つけられたらいいなと思っています。

――井上芳雄さんとは、中国で離別した兄妹を演じます。

生き別れたあとの、それぞれの人生が舞台上で描かれていくので、そこがどう交差していくのかすごく楽しみです。玉花(あつ子)が一心のシーンにストーリーテラーとして存在して、一心の身に何が起きたのか目撃できるというのも、とても嬉しいなと感じていて。舞台だからこそできる表現だと思います。

また、今回はキャストが多いので、井上さんが座長として引っ張ってくださる背中を見られることがすごく幸せですし、お芝居から学ぶこともたくさんあると思います。