<草彅剛&風吹ジュン 対談コメント(後編)>
――この作品では、たくさんの「別れ」が描かれます。大切な人との別れを乗り越えるために必要なものは?
風吹:大切な人が亡くなったときはもちろん悲しいけれど、悲しむよりも、その人と過ごした時間を思い出すことで存在を感じる、そうやって乗り越えるしかないんじゃないかしら。肉体は離れても、その人の魂は自分のそばにいる――という考え方をするようにしています。
草彅:悲しみは消えるものではないし、何をしても癒えないかもしれないけれど、僕も風吹さんが言うように、肉体は離れても魂はつながってると思っています。誰もがいつかはこの世に別れを告げるし、それは順番にやってくるもの。もちろん、それだけでは到底割りきれないこともあるけれど、自分がその人を思い出すことで、生きていたことを感じるのが一番なんじゃないかな。
極端な話、僕は人類の長い歴史で考えたら、自分の一生なんて点にすぎないと思っていて、でもその点が自分にとっては100%のもので、かけがえのないもの。だからこそ、自分の人生をどう生きていくか、まっとうするかが大切だと思うんです。このドラマも、そういうところを描いていると思います。
風吹:自分が旅立つときに思うのは、やっぱり残していく人たちに何を与えられたか、見送ってくれる方たちには傷つかないでほしいし、幸せであってほしいと願うわけじゃないですか。そこが大事。命が燃え尽きる自分よりも、残された人たちが大事。悲しんだり惜しんだりすると思うけれど、それだけじゃないないんだよということを、こはるを通して伝えたいです。
草彅:こはるさんは、まさにそういうことをずっと考えている人ですもんね。
風吹:そう。彼女には愛しかないの。だからこそ、そこに樹をはじめ同じ思いの人が集まってきてくれるんだと思います。彼女は孤独に見えても、決して孤独じゃない。余命3ヵ月なのに、こんなに明るくていいのかと、演じている私が不安を覚えるほど元気ですし(笑)。
草彅:でもそこが逆にリアルなんじゃないですかね。こはるさんが元気に見えるからこそ、グッとくるシーンがいっぱいありますよ。
風吹:(こはるの娘)真琴(中村ゆり)と樹と3人のシーンも、いずれ訪れる別れの日を思うと確かに切ないんだけど、残された3ヵ月間を全力で生きることは、こはるにとってすごく幸せで…。そういうことを感じながら演じているし、理想の最期だと思いました。
