国民的な作品に出演し、大きな影響を受けた中沢さん。今秋は映画2作品の公開が控えており、さらに初舞台の開幕も迫る多忙ぶり。本人にとって節目の年となったようで、心境を尋ねると…。
中沢元紀 初舞台、映画、写真集…と八面六臂の大活躍
――11月半ばから舞台『シッダールタ』で初舞台を踏みますが、稽古は順調ですか?
なにぶん初めての舞台なのでわからないことも多いのですが、順調に進行していると思います。きっとものすごいスケールの作品になるんだろうなという手ごたえを感じています。
初めてうける白井晃さんの演出は、つくり上げては一旦、壊しての繰り返しで、よりよい作品を追求していってのことだと思うので、僕も開幕が楽しみで仕方ありません。
――長く第一線を走り続ける草彅剛さんと親子役を演じることも大きなトピックです。
親子として向き合うのは物語の後半なので草彅さんとはまだ深い話や本格的な絡みはできていませんが、1対1でお芝居ができる貴重な機会ですし、しかも、公演は1ヵ月以上続くので、本番を重ねるごとにお芝居や空気感が変わっていきそうな予感がしています。
草彅さんは、スイッチが入ったら圧倒的な熱量を放出される方だと実感しているので、そのエネルギーについていけるよう、何だったら追い越せるくらいの勢いで、自分の役割をしっかりとはたしたいです。

――11月14日に映画「君の顔では泣けない」が公開されますが、どのような作品ですか?
高校時代に体が入れ替わってしまった陸(芳根京子)とまなみ(髙橋海人)の15年間を描いた物語で、僕は二人の友人・淳一という役柄を演じています。撮影に参加したのは4日間くらいで、さらに、海人くんとは数時間しか会っていないので深い話はできませんでしたが、プロモーションで一緒に過ごす機会が多いので、どんどん仲良くなっています。
いわゆる“入れ替わりもの”とは違い、もとに戻る方法を模索しながら、相手の人生を受け入れていくという内容で、他の入れ替わり作品にはないようなテイストですし、観る人によって解釈が違ってくると思うので、一緒に鑑賞した人との会話が弾むのではないでしょうか。

――さらに、12月5日には人気コミックを実写化した『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』が公開と、出演作が続々、世に出ます。
“防風鈴=ウィンドブレイカー”と呼ばれる不良たちが街を守り、ヒーローになっていく物語で、僕は防風鈴・四天王の一人である柊登馬を演じています。
先日、試写を見ましたが、映像と音楽がすごくマッチした中、キャラクターの心理が丁寧に描写されていて、原作ファンの皆さんにも満足していただけるのではないかと感じました。
本格的なアクションが初めての挑戦だったので「もっとこうしたかった」という反省点もありますが、スピード感あふれる迫力満点の映像になっていると思います。

――同世代の俳優が集まり、にぎやかな撮影だったのではないでしょうか。
オール沖縄ロケで、すごく楽しい時間を過ごせました。主演の水上恒司くんは同い年なのですが、たくさんの刺激を受けましたし、シーンごとの熱量がものすごく高くて見習いたいと思いつつ、負けていられないという思いもあります。
共演の木戸大聖さん、BE:FIRSTのJUNONくん、綱啓永くんとは撮影が終わってからも特に仲良くさせてもらっているので、この作品がシーズン2、シーズン3…と続いていくことを僕も祈っています。
――10月1日に発売された1st写真集『ルート』(ワニブックス刊)は撮影に1年間をかけた力作だと聞いています。
俳優としての濃密な1年を追っていただけたと実感しています。髪型や髪色、体型、表情も含めて、1カットごとに全然違う僕がつまっているので応援してくださる方には楽しんでいただけると思いますし、4人のカメラマンさんに撮っていただいたので、テイストの違いも感じていただけたら嬉しいです。

――1年でもっとも変化したのはどんなところだと思いますか?
メンタルですね。『あんぱん』をはじめとする作品たちに携わっていた時期ごとに心境がまったく違い、そんな作品を経た後はお芝居への取り組み方や演技に対する考え方にも変化が出て、その受けた影響が佇まいにもしっかり表れていると思うんです。自信と肝がすわってきた感覚というのかな…まだまだですけど、確かに感じています。
――少し気の早い話ですが、2025年はどんな年でしたか?2026年の展望も含めて聞かせてください。
事務所に所属して5年目がスタートした年で、出演した作品数がこれまでで一番多く、外見も中身も大きく変わった年になりました。表現者としての土台ができてきたという手ごたえを得ていて、この勢いにのってどんどんステップアップし、さらに、チャレンジする精神も忘れず、俳優としての地位を確立していきたいです。