本作の魅力を語ってくれた小野賢章さんと岡本信彦さん。インタビュー後半では、怒涛のセリフの応酬の裏側、好きなシーンについて語ります。

セリフの応酬!「一気に噛まずに言えた時の快感はすごい」

――セリフも多く、激しいスピード感で進んでいきますが、「気持ちよかった」「面白かった」というシーンはありますか?

岡本:ペイ・チェンが「ぎゃー!」、「なんでだ!」みたいに叫んだりするのを、聞いていて「気持ちいいな」と思います。よくこの早いテンポで言えるなと。自分としては、マー・ヤンが忙しなく去る瞬間とかに、とにかくセリフを叩き込まなければいけなくて、「よし、叩き込めた!」というスポーツみたいな印象もあります。

小野:あるね(笑)。弾丸でしゃべる中でも、声に出しているセリフと、モノローグで心の中で語っているセリフが交互に来たりしますが、それを一気に噛まずに言えた時の快感はすごいですね。「あ、プロだな」って(笑)。

岡本:思うよね、「天才だな、自分」って(笑)。やっぱり中国語から日本語訳になっている妙もあって、セリフが結構詰め込まれていると思います。

小野:あと、役名が中国名なので、言い慣れてない感があり、地味に難しかったりします。新しいキャラクターが出てくるたびに、実際に現場に行って確認しないとイントネーションがわからなかったりするので。練習でやっていたイントネーションと違った時が結構地獄です(笑)。

岡本:中国語ってイントネーションで意味合いが変わってしまう言語だと思うので、難しいですね。

岡本信彦

――個人的に好きなシーンを教えてください。

岡本:最初に制作したゲームが成功した時ですね。作品の世界のシステム、ルールの面白さのパンチを食らった感じがして、楽しかったです。ペイ・チェンはテンションが上がってしゃべる時に、イマジナリー自分も出てきてテンションが上がったり下がったり、大変だとは思いますが、聞いているこっちは「楽しいな」と思っていました。

小野:ゲームを作る時に、「ああでもない、こうでもない」と会議をしているシーンはすごく好きです。「次はこういうものを作りたい」とか、枠組みを決めていくあの感じは「自分がこの場にいたら、めっちゃ楽しいだろうな」と、演じていても楽しかったです。まだ実現してないけれど、想像の中で語り合うって、1番楽しい瞬間だろうなと思いながら演じていました。 

ゲームの作り方を教えるマー・ヤン © bilibili 閱文動漫 改編自閱文集團旗下起點讀書小說《虧成首富從遊戲開始》 作者:青衫取醉

――それでは、楽しみにしている人にメッセージをお願いします。

小野:『破産富豪 The Richest Man in GAME』はサクセスストーリーで、物語自体はすごくスピーディに進んでいきます。何が起こっているのか、すごくわかりやすいので見やすいと思いますし、主人公のペイ・チェンが意図していない方向にどんどん展開が進んでいく、面白さを感じていただけたらなと思います。ペイ・チェン的にはうまくいっていないのに、生活も豊かになっていく状況をどうしていくのか、個人的にも楽しみにしているポイントです。

岡本:物語全体としては、成功者として駆け上がっていく楽しさと、ペイ・チェンを取り巻く環境がどんどん変わっていくことに比例して、個性豊かなキャラクターも増えていく感じが楽しいなと思っています。「どんなゲームを考えて破産しようとするのか」というペイ・チェンのアイデアも面白いです。

マー・ヤンはおそらく今後も成長しないキャラクターだろうと思ってまして(笑)。全然ダメなんですけれど、社長として成長していくペイ・チェンの片隅にいる1番のラッキーボーイみたいな感じです。マー・ヤンは社長のペイ・チェンに奢(おご)ってもらって楽しく食べているけれど、ペイ・チェンのほうがお金はもらっていない。社長として、秘密にしている部分を分からないまま、ずっと能天気に「ペイ・チェンは天才だ!」って言いながらついていく、マー・ヤンの愛嬌とかかわいらしさを、皆さんに見てもらえたらうれしいな思っております。

撮影:今井裕治