<日高由起刀 コメント>

第10話で天文部の部室に生徒が集まって、健治さんが全員に語りかける印象的な場面があるのですが、その場にいる一人ひとりの表情をシーンの頭から最後まで一連で撮影しました。カット数が多く何度も繰り返し撮影していくなかでも、磯村さんが長いセリフを細かな感情の変化をつけながら毎回100%の力で表現されていて、集中力・持続力がすごく、その熱量を直に感じました。言葉を受ける側としても、とても演じやすく、ありがたく感じました。
クランクインしてからずっと、磯村さん自身が、自分が動いた方が周りも良くなるだろうと思ってくださっていることが強く感じられ、すべての面で見習うことがあると、生徒役同士でよく話しています。
また、第10話は、第1話と比べて鷹野の感情が大きく動き、斎藤を心配したり、健治さんに向かって感情を高ぶらせたりするシーンがあります。突発的に行動に出ることが多い鷹野ですが、不器用ながらもきれいな心を持っているからこそ、誰かのために動ける、偽りのなさが愛くるしいキャラクターなのかなと思っています。
このドラマは、一人ひとり見てくださっている方々に、一対一で対話していくような作品です。全員に居場所があるんだよということを、1話1話丁寧に伝えてくれますし、すっきり解決しない時があるからこそ、毎話自分で咀嚼(そしゃく)して考えたくなります。
そうありながらも、見終わったあとにあたたかい気持ちが残る感じもあり、ほっこりもします。僕自身、この現場がすごく刺激になりますし、本当にいい作品に出会えたことに感謝しています。ぜひ、細かい部分にもご注目いただきたいです。