<光石研 コメント>

健治を演じる磯村さんとは、これまでも何度か共演がありますが、地に足がついていて、着実に一歩ずつ進んでいらっしゃるイメージがあります。協調性がありバランス感覚が優れていて、いろいろな役を演じることができる、若きスターですよね。周囲への気遣いのすばらしさは昔から変わらないです。
第9話は、息子の健治と離れ離れになってから初めて再会するという、私が演じる誠司にとってとても大切な回で、撮影を楽しみにしていました。
誠司自身が教育者ということもあり、過去に健治の育て方を間違えたことは自覚していると思うんです。家を出ておばあちゃんの家に行ってしまい、どうしてこうなってしまったのかと複雑な思いを抱えていたはずです。複雑な関係性、いろいろとせめぎあった感情、ぜひご注目いただきたいです。
このドラマは、一見やわらかい包装紙に入った甘いケーキのように思わせておいて、実はかじってみると奥底にビターな風味が残るような作品です。
手触りが良く、かわいらしい世界観だけど「世の中、このままで大丈夫?」と世間にちょっとだけナイフを突きつけるような。
脚本家の大森美香さんが書かれるキャラクターが魅力的で、奥が深い作品になっています。ドラマに出演している自分もウーっと感動してしまうこともあります。監督・スタッフが毎カット丁寧に作っているので、できるだけ大きい画面で隅々まで見ていただけたらうれしいです。