――『隣のステラ』など、少女マンガ原作の作品に出演する場合、意識することや大事にしているものがあれば教えてください。

映像で描かれるシーンを原作と照らし合わせながら、とにかく原作を読み込みます。映像のほうは2時間前後で描かれることが一般的ですが、原作では何巻にもわたって物語が描かれることもあるので、そんなときは映像の脚本で描かれていないエピソードを原作で追体験して、映像に投影するように心がけています。

原作を読みながらキャラクターのイメージを頭の中でつくり上げて、そして、現場で相手役の方やスタッフさんと相談しつつ、最終的には全体をみてくださっている監督に委ねます。

――昴が芸能界を目指したきっかけを振り返る場面が登場しますが、これまでの活動を振り返ってどんなことを思い出しますか?

デビューしたのが高校1年生のときで、いつのまにかもう8年経っているんです。気づいたら今年の秋には25歳になるので、自分のことながら驚いてしまいます。

デビューのきっかけは友だちの推薦でオーディションを受けたことでした。右も左もわからない状態でお芝居を始め、いろいろな作品を通して感じるのは、お芝居って一筋縄ではいかないし、まだまだ自分の理想とは程遠いということ。

大変な思いをすることもありますが、それでもやっていてすごく楽しいんです。2023年に日本アカデミー賞新人賞を受賞したときは、家族や友だちが自分のことのように喜んでくれて、「さらに頑張らなきゃ」と気持ちを新たにしました。

福本莉子 人生を楽しむために“推し活”でパワーチャージ

――倉悠貴さん演じるバイト先の先輩・高橋から「人生、楽しんでる?」と問われる場面がありますが、同じ質問をさせてください。

楽しんでいます!最近のことでいうと、ハンス・ジマーさんのコンサートに行ってきました。ジマーさんは映画の劇伴(劇中伴奏音楽)を作られている方で、以前、池袋の新文芸坐で映画音楽を扱った作品の2本立てを観たときに、ジマーさんのことを知ったんです。

移動中の車内でずっと劇伴を聴くくらい夢中になって、そして、5月に待望の初来日公演があり、ジマーさんが紡ぐ音楽に生でふれることができ、大感激でした。

――千明の隣に常に昴がいたように、福本さんの隣にいてほしい存在について聞かせてください。

一緒にいて落ち着くのは7歳上の姉です。たまに姉が東京に来るので、そんなときは私の部屋に泊まるんですけど、やっぱり落ち着きます。何かしていても楽しいですし、何もしなくても居心地がいい。“お姉ちゃん”なので頼りがいもあって、隣にいてくれたら嬉しいです。

――昴が「千明は自分にとっての一番星」と伝えるシーンが登場しますが、福本さんにとって希望や元気を与えてくれる“一番星”は何ですか?

やっぱり家族ですね。いつも私のことを心配してくれたり、作品が決まると喜んでくれたり。大阪にいるときは一緒にいるのが当たり前だったけれど、離れ離れになってから気づくことがたくさんあって。

家族と過ごす時間は私にとってとても大事なものです。だけど、永遠に続くものではないとわかっているので、家族に限らず、友だちであっても「話したい」と思うことはそのときに必ず話すと決めています。

そして、地元の大阪も元気をもらえる大切な場所。人が温かいですし、お仕事のときは標準語で話しているので、どうしても関西弁でデトックスしたくなるんです。

――千明は自分をアップデートするためにアルバイトを始めますが、自身がアップデートしたいことはありますか?

体力をアップデートしたいです。頻繁にジムに通っていた時期があったんですけど、去年あたりからあまり行けていなくて。最近、再び体を動かすようになったので、一番頑張っていた時期の体力に戻したいなと。運動すると姿勢がよくなりますし、猛暑をのりきるためにもしっかり鍛えたいです。

撮影:今井裕治
ヘアメイク:伏屋陽子(ESPER)
スタイリスト:武久真理江