<梅沢富美男&研ナオコ コメント>

――これまでの撮影で印象に残っているシーンを教えてください。
梅沢:75歳になって初めて、全国放送のテレビドラマで連続ものの主役を務めさせていただいたんです。そういう意味もあって、第1話がやっぱり一番心に残っていますかね。
研:私は、梅沢さんとドラマ初めてで、すごく新鮮ですね。やっぱり役者さんなんですよね。しっかりと松子おばあちゃんに見えるんで、本当にすごいなあと感心しました。
梅沢:舞台では、20年近くご一緒していますけど、ドラマとなると今回が初めてですね。
――お二人は、松子のようなおばあちゃんと友だちになれますか?
梅沢&研:なれますね!
梅沢:一番好きなばあさんだな。彼女は、これまでさまざまな経験を積み重ねて、75歳になっ
た今でも、前向きに生きてきて、まだまだ多くの人と関わっていたい、若い人たちに自分の経験を伝えていきたいと思っている。その姿を見ていると、いいばあさんだなと思いますね。
研:それでいて、ちゃんと若い世代の意見にも耳を傾けてあげてね。自分の考えを押しつけるだけじゃなく、相手の話をきちんと受け止めて、そのうえで経験から何かを伝えようとする。柔軟さとやさしさを持っているところも、松子おばあちゃんの魅力だよね。

――今、お二人が便利屋さんの松子に依頼をするとしたら、どんなことを依頼しますか?
梅沢:地方でも公演が多いんだけど、出演者やスタッフ分でいつも40個以上のお弁当が必要になる。最近は、配達アプリもありますけど、5〜6個くらいなら運んでくれるけど、40個以上になると、まず運んでくれない。そういう事情もあって、松子さんにはお弁当を頼めるお店を見つけてもらいたい。
研:なんなら、松子さんは作っちゃうかもしれないよね。浅草のいろんなお店のおいしいもの少しずつ集めて「それをまとめて出せばいいじゃないの」って、サラッと言って(笑)。私は、松子さんに愛犬のメロちゃんの面倒を見てもらおうかな。メロちゃんは寂しがるから(笑)、松子さんがメロちゃんと散歩してるのも面白いでしょ。絶対にかわいいよね。
梅沢:面倒見るの、きっと上手だね。
――共演者のみなさんの印象を教えてください。
梅沢:セリフって、ただ言えばいいわけじゃないんだよ。大事なのは“間”。堀田茜ちゃんは、その“間”が本当にうまい子で、久しぶりに感心しましたね。あと、台本を見ながら芝居するのは役者として一番やっちゃいけないことなんだよ。茜ちゃんも現場で台本を一度も持ってなかったんだよ。そこは褒めてあげたい。
それと、朝日奈央ちゃんも良かった。ある泣くシーンで「思いっきり泣きな。これは、一番感情を出すところだから」と伝えて、スタッフにも「一発で撮れよ」と。いいシーンは、テンションが一番大事だから。彼女は見事に応えてくれて、本当に素晴らしかった。俺は基本、役者をあまり褒めないんだよ。褒めたら負けだと思ってるから(笑)。
研:若手キャストさんたち、レベルが高いし、これからが楽しみだよね。

――松子は75歳で新たな一歩を踏み出しました。これから挑戦したいことはありますか?
梅沢:芸能界って本当に先が読めないから「映画やミュージカルにも出たい」なんてキレイごとを言っても仕方がないしさ。正直、明日どうなるかなんて誰にもわからないから必死なんだよ。でも、もしできるなら、あと5年くらいは劇団を続けたいし、この世界にもまだいたい。
研:私たちは、70歳を過ぎてからのほうが、不思議なくらい元気なんですよ(笑)。むしろ仕事がどんどん増えちゃって、「殺す気か〜!」って冗談言うくらい(笑)。梅沢さん、5年前に「もう自分はダメだ」なんて言っていたけど、もう5年以上経っても元気だからこの方は、これからもずっとお仕事されると思いますよ。
梅沢:あと、もう一度“芸能界のオリンピック”に出て、金メダルを取りたいね。
(後編に続く)
