梅沢富美男さん主演、土ドラ『浅草ラスボスおばあちゃん』は、日向松子(梅沢)が、失敗したり、空回りしたりしながらも、体当たりでキュートにハートフルに問題を解決。松子自身も、老後の孤独や人生の意味に向き合いながら少しずつ成長していく、人情味あふれる痛快リスタート物語!

<試写室>『浅草ラスボスおばあちゃん』第3話

梅沢富美男さんの松子おばあちゃんに気をとられ過ぎて、これまで一言も触れてなかったけれど、このドラマを、梅沢富美男さん演じる“おばあちゃん”が主演だから!って色物にせず、古めかしくなくポップに、説教臭くなく真摯に、だけど堅苦しくもなくカジュアルに、何よりテンポよく楽しめているのは、松子おばあちゃんのバディ、今作のヒロインとも言っていい、森野さん(堀田茜)のおかげですよね(いまさら!?)?

堀田茜さんが演じる森野さんのキャラって、よくよくちゃんと見てみるとすごく画期的だと思う(そもそもちゃんと見ろ!)。だって、こういう強烈キャラが主人公のドラマに出てくる相方役って、ツッコミになるわけだから、大抵うるさいですよね(決めつけ)?

で、うるさくても気の利いたこと言えてればおもしろいんだろうけど、大抵ただただうるさいだけ、ただのにぎやかしですよね(決めつけひどい)?なおかつ、こういう格言言いそうキャラに添えられるキャラってもんは、成長過程な人物、つまり自分探し系キャラなわけだから、大抵めんどくさいじゃないですか(決めつけが過ぎる)?

…っと、ここまで書いといて、ふと思い出されるのが、『最高のオバハン 中島ハルコ』のバディ・いづみ(松本まりか)だけど、あのいづみ、うるさいし、にぎやかだし、自分探しが過ぎてた…わけだけど、どうしてあそこまでキュートだったのだろう?(キュートかつクレイジーだったから、人気シリーズであり、名コンビにもなったのでしょう)…おっと、またしても『中島ハルコ』を引き合いに出して比較してしまいましたが、話を戻して、今作の森野さん。このキャラが、ツッコミであり自分探しであり、テンポ要員でもあるというのに、全然画一的でなく、実に秀逸で唯一無二。

ツッコミ役だけど、うるさくない…むしろうまい。でもって、松子の騒動に巻き込まれ型だというのに、その騒動に対して決して全然キーキー感がない。いや、セリフや設定上ではキーキー感が出てる。むしろ出してほしいとすら願っての作劇もあるはずなのに、ちっともキーキー感がない(キーキー感ってなんだよ!)。

だけども、ちゃんと騒動に巻き込まれてることに対して、迷惑を感じてる風情は出してる。でもってでもって最も感心するのが、森野さん、今の自分に満足していない、自分探しキャラだというのに、その自分探しってのも、絶妙にめんどくさい自分探し…安定を求めてるはずなのに(公務員なのに)、不安定も求めてる(シェアハウスに住んでる)っていう、ちょっと理解にするには何工程も要するほどの、共感遠いキャラ…だっていうのに、ちっともめんどくさくないの。

むしろ、ああいうキッチリキャラなのに、シェアハウスに住んでいるっていう、その矛盾がとっても人間臭くって、守ってあげたいキュートさを醸し出してる…。