<試写室>『バントマン』第4話

いやー、今週も、とにかくすごい!

うん、いや、何がすごいかって、この、毎回の、案件の、地味さですよ!!!(ほめてます)

だって、初回はこのドラマの導入部だったので比較から外すとして、これまで“バントマン”たちが暗躍した案件ってのが「家事に育児に忙しい主婦…だけど、シナリオコンクールに応募したい!」(第2話)→「お父さんと一緒に推し活がしたい!(ライブ行きたい)」(第3話)ときて、今週はというと「最近、仲が悪いっぽい?夫婦を救いたい!」という地味さ。いや、地味というより、今回のそれは夫婦の問題だし!!。

毎回の案件が細かくて地味である理由

うん、なんていうか、もっと、もっと派手めな案件を想像してたんですよね。だって社員に幸福をもたらすことを“究極の福利厚生”つって、暗躍する部員たち=バントマンの話なんだから、もっとこう、舞台が大企業なんだし、その大プロジェクトのサポートを手伝ってイベント(プレゼン)大成功!だとか、多くの社員たちを喜ばせる社員旅行のセッティングをしてみんな超ハッピー!とか、ド派手な忘年会の演出しちゃったよ~!とかなんとか、そういう?(どういう?)かなり派手めな、案件を用意してんのかな?って…。

っていうか、そもそもまだ序盤なんだから、そんな“ド派手”でもって視聴者を巻き込み、引き込んでもおかしくないじゃないですか?

なのに、初案件が「コンクール応募したい!」からの「推しのライブ行きたい!」で、3回目が「夫婦を仲良くさせたい!」っていう、この、案件の、地味さ、いや細かさよ!!!っていうか、よくよく振り返ると、3案件ともに、もれなくすべて、実際のところ、ほっとけよ!案件だよな!?(ほめてます…いや、ここからほめていきます!)

うん、だけどだけど、この第3話までをご覧の方はもうおわかり…でしょう。この『バントマン』というドラマは、案件が細(こまか)ければ細かいほど、それらにつながる細かな事象がすべてディテールとなり、そのディテールが積み重なることで、それらは丁寧な描写となり、だからこそ、なんだかよくはわかんないんだけど(おい!)、小さな感動に包まれ、沁(し)みる…のです。

で、それが、それこそが“究極の福利厚生”!!!だと実感できるという、逆説的アプローチドラマ!!!なのです。

©東海テレビ FOD

その証拠に、第2話は家族の理解と大人になっても夢をかなえたいという純粋な気持ちをじっくり描き、第3話は推し活をモチーフにしながらもピュアな親子愛と父の仕事に対する誠実さを描いて、それらがあまりに細かい!からこその、これぞ“究極の福利厚生”!!を実感させてくれたんですもの。

うん、で、よくよく考えたら、いやよくよく考えなくても、このドラマのタイトルは『バントマン』。

…ド派手なホームラン!を目指すのではなく、自分が犠牲になって誰かを次のステップへ送る“バント”なのですから、毎回の案件は細かくて地味でなければならないのです。派手であってはならないのです!!(自分が言うたんやろ!)

©東海テレビ FOD

このドラマは、第2話で、華(倉科カナ)が言っていたように、プッシュバント=少しだけ誰かの背中を押す、それを目指す…誰にもちょっとした“きっかけ”(=バント)で幸福になれるチャンスがある、その可能性を描いた、それを手助けする人たちを描いた、そんな、ハートウォーミングドラマなんですもの!

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