──健治の魅力をどのように捉えていますか?
もし、実際に健治のような人が自分の近くにいたら、あまりにもつかみどころがなさすぎて「この人は何を考えているのだろう?」と思ってしまうかもしれないです。
ですが、徐々にそこが魅力的に見えてきて「見守りたい」「応援したい」と、彼の感性を知りたくなるような人です。それぐらい彼は自由だし、人の心があまりわからなくて不器用なところがチャーミングに見えたらいいなと思います。

──ご自身と健治に共通点はありますか?
結構離れている気がするのですが…健治は星がすごく好きで、独特の感性で星のことを追求している。好きなことを突き詰めて、それが結果的に自分の落ち着く場所、言葉、景色になっていくという健治の感覚はわかります。
僕の場合は俳優の仕事とサウナが、健治にとっての星。自分も好きなものに入り込んでしまうことがあるので、その点は似ているのかもしれないです。
磯村勇斗が思う宮沢賢治の魅力は「独特の発想から生まれる言葉選び」
──劇中には宮沢賢治の作品がたびたび出てきますが、宮沢賢治と健治にリンクする部分はあるのでしょうか?
星が好きな健治は、宮沢賢治の『星めぐりの歌』という歌が大好きで、それが健治を落ち着かせてくれる歌ということもあり、実際に歌うシーンもあります。星と宮沢賢治は、健治を演じるうえでとても大事なベースになっています。
──磯村さんは、宮沢賢治の魅力をどのように感じていますか?
独特の発想から生まれる言葉の選び方と、組み合わせ方が面白いです。さらに物理学、宇宙学、生物学などの科学も含めて、あらゆる分野の知識を学んでファンタジーを作っていく。そういった要素を彼ならではの感覚でミックスしているところが魅力なのかなと思います。
──健治のサポート役となる教師・幸田珠々を演じる堀田真由さんの印象を教えてください。
芯があって柔軟性の高い俳優さんだと思いました。受けのお芝居が上手で、相手のセリフを聞いて、それに合わせて毎回違う反応が返ってくる。台本を読んで考えてきたうえで、現場での感覚を大事にしている方だな、と。一緒にお芝居をしていて楽しいです。

──堀田さんとの撮影で印象深いエピソードを聞かせてください。
健治は何かを思い立ち、その場から立ち上がってどこかへ行ってしまうことがよくあり、幸田先生が「白鳥さん!」と言って追いかけるというシチュエーションが結構多くて。「この感じ、前にもあったね」と現場で堀田さんと話していました。健治は、心配をかけてばかりです(笑)。
そういった健治を心配してサポートしてくれる優しさは幸田先生の魅力だと思いますし、堀田さん自身のパーソナルな部分も幸田先生に乗っている気がしていて、とてもマッチしていると感じます。