<筒井真理子 コメント>
――台本を読んだ印象は?
脚本は、まずじっくりと読みました。そして、井上先生は静かに社会と格闘しているのだなと思いました。私が幼いころは、まだ学生運動の気運が残っていて、立ち向かうべき権威や常識がありました。けれど、それは次第に細分化され向かうべき対象が見えづらくなっていった気がします。
そうなって久しいなか、格差や分断は確実に進んでいて、この作品にはその社会の不均衡が投影されていると感じました。
時代からしっかりと目をそらさない、そんな意志が伝わってきました。引きこまれる脚本は、一話一話とても面白くて、次の脚本が楽しみで仕方ない日が続いています。
――筒井さん演じる早苗について教えてください。
今まで見たことのない面白い役です。女性の俳優は、年を重ねていくと安定した母親役などに狭められていくと言われてきました。時代が変わり、職業を持つ女性の役も増えましたが、この早苗役は、専業主婦にしてしかも今までに演じたことのない面白さ!
先がけとなるこの役を演じられることが、この上ない幸せです。これは、井上先生、西谷監督、栗原プロデューサーはじめ、スタッフのみなさまからのラブレターだと思って一つひとつ丁寧に演じていきたいと思います。ここから新しい風が吹くといいな、そんなふうに思っています。
――木村文乃さん、酒向芳さんとの「小川家」の芝居はいかがですか?
木村文乃さんは、その佇(たたず)まいすべてが「小川愛実」と重ね合っていて、母として「全身で守らねば」という思いが撮影を重ねるたびに増しています。
酒向芳さんの、人物に一味つけるセンスには毎回感心したり笑ったり。最高です。そして、このお二人が素晴らしいのは、演技に嘘(うそ)が一つもないということです。
これは大変なことなのです!その2人の間で、私も嘘なく早苗になろうと努めていると、いろいろな化学反応が起こります。刺激的で楽しくて仕方ない撮影現場です。
――視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
この素晴らしいチームが仕上げる完成作品を、そしてその中で小川一家もどう変わっていくのか。毎週楽しみにしていただけたらうれしいです!