<ストーリー>

緋山鋭介(藤原)は、売れない俳優。スターを目指して大阪から上京しましたが、仕事は端役ばかりで収入はわずか、その日暮らしの毎日を過ごしていました。

そんな彼は、まったく役にたたない“ギフト”の持ち主。それは、非業の死を遂げた霊の声が“聞こえる”という厄介な特殊能力。霊感があるわけでもなく、霊の姿が見えるわけでもなく、かといって霊とコミュニケーションがとれるわけでもありません。

ただ、霊の声が一方的に聞こえる、無用の長物ともいえるもの。それゆえ、家賃が格安の事故物件にうっかり飛びついては死者の悲痛な声に悩まされ、転居を繰り返す引っ越し貧乏に陥っていました。

ある日、またも事故物件をつかまされた緋山は、苦情を訴えようと家を仲介した「アマミ不動産」へ。緋山の能力を知った社長の天海吾郎(大谷)から「紹介したい物件がある」と思わぬ場所に案内されます。そこは、5年前に女性がベランダから飛び降りて自ら命を断ったという高級マンションの一室。

自殺騒ぎで家賃が安くなったこともあり、これまで10人が次々と入居したのですが、その全員が精神的に不安定になって短期間で退去し、自殺を図ろうとする者までいた特A級の事故物件だといいます。

この部屋でしばらく暮らし、問題なく住めることを証明して事故物件のイメージをロンダリング(洗浄)するアルバイトを持ちかけられた緋山は、高額のバイト代に目がくらんで引き受けることに。その夜、さっそく死者の声を聞きますが、自殺したはずの女性がなぜか「私は殺された!」と訴えて…。