――昭和11年を舞台にした『波うららかに、めおと日和』を令和の今、映像化する意味や意義についてはどう感じていますか?

第1話

宋:今はすごく便利ですけど、その瞬間、瞬間を大事にするというより、刺激に慣れてしまっているような時代だと感じていて。そういったなかで、当たり前に思える関係、人と人とのつながり、絆というのものを見たいと思いました。

朝起きて「おはよう」とか「行ってきます」とか「ご飯がおいしいね」とか、そういう当たり前のことが失われていたかもしれない、と感じることが私の日常にもあって。このドラマを通じてその“当たり前”を届けられたらいいなと。

第5話

平野:僕は基本的に「生活」を表現することがすごく好きで。包丁で食材を切ったり、掃除や洗濯をしたりというのを、このドラマなら全部表現できるなと思いました。やっぱり家に帰ってきたらまず手を洗って、とかいうのをちゃんと表現したいので、それが丁寧にできるのはすごくうれしい題材ではありますね。

「ただいま」と帰ってきていきなり食事をするような演出がどうしても耐えられないんです。僕がドラマを演出するときは、帰ってきたら必ず手を洗うとか、そういうのを丁寧に撮るようにしていますし、そこは視聴者の人にも伝わると思うので、そういったところは心がけています。

――なつ美が料理をするシーンも多いですが、調理シーンのこだわりを教えてください。

第1話

平野:昭和11年なので、包丁ひとつとっても今とは違いますよね。とにかく当時の日常で使っていたものを美術さんに用意していただきました。「こんな包丁使ってたんだ」とか、「こんなふうに切るんだ」とか、「(当時の)食材ってこうなんだ」とか思いながら撮っています。

第5話

料理に使う火にしても、やっとガスがでてきたくらいだし、窯に火をくべてとか、今の時代じゃキャンプでしかやらないですよね。だけどそういうのが非常に面白い。昔の冷蔵庫もそうですし、第3話にはアイロンが出てきたんですが、そういうのを見るだけでワクワクしますね。

あとは、炭を入れて使うコタツを第7話と第8話で出そうと思っているのですが、当時使っていたコタツを美術さんに用意してもらって。今からワクワクしています(笑)。

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――本作の撮影で、監督は「(カメラを動かして撮るための)レールは絶対に使わない」そうですが、そこに対するこだわりについて教えてください。

平野:自分が演出を担当した『監察医 朝顔』も『PICU 小児集中治療室』(ともにフジテレビ)もそうですが、(カメラは)動いていない。実はほぼフィックス(固定)なんです。

カメラが動くとなんとなく雰囲気で「いい画が撮れた」みたいな感じになるんです。そこに対して「役者さんが芝居をしているのに、カメラが芝居してどうすんだよ」みたいな気持ちがずっとあって。

(草彅)剛くんと一緒にやった『僕と彼女と彼女の生きる道』(カンテレ・フジテレビ系)も全部フィックスでしたが、各話で必ず1回だけズームしようと決めてました。僕は、カットを決めて撮る分、撮影時間も短くて済むんですよ(笑)。

――プロデューサーの視点から見た平野演出の魅力、ほかとは違う部分は?

宋:監督はホントにロマンチストなんですよ。これ言うと否定されるのですけど(笑)。

平野:いや、僕は超現実的ですよ(笑)。

宋:今回、漫画原作だから漫画に寄せたり、いろいろなことができたりすると思うのですが、監督は原作の良さを活かしつつ、「生身の人間がやるときにどうしたら見る人に伝わるか」を第一に考えてくださる。やっぱり平野監督にこの作品を撮ってもらってよかったな、と改めて思っています。

第6話

取材・文:中村裕一

『波うららかに、めおと日和』第6話は、5月29日(木)22時より、フジテレビで放送されます。

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