――オリジナル作品のため、ゼロからデザインを起こしたと思います。オファーを受けたときは、どう思いましたか?
こういったドラマの捜査本部は、警視庁のビルなどの中にあるというのが一般的ですが、今回は、もともと神社の社(やしろ)の横にある社務所(しゃむしょ)の地下にあるということでしたので、いろいろと遊びを入れられそうで面白いな、と思いました。
――「全決」は木造でレトロですが、外観はコンクリートでモダンですね。
まず、セットを先行してデザインしていたところで、外観が決まったんです。外観は鉄筋コンクリートだけれど、神社の敷地内にあるのだから、そこの地下に古いものがあっても説明がつくだろうということで。
そういう意味で、建物の入り口から「全決」までの廊下は、その中間というか、鉄の雰囲気と木造のテイストがちょうど融合した感じになっています。部屋に入ると、木造になるので、そこへ行くまでのグラデーションとして、なじむようにしています。
「全領域異常解決室」へと誘う長い廊下のこだわり
――実際、廊下はかなり長く、だんだんと「全決」へ誘われるような感じがします。
その薄暗い廊下を「何があるんだろう」と歩いていってドアを開けると、異世界のような空間が開けるという狙いはありました。廊下の雰囲気についても台本にあったのですが、階段の横にある布は、平安時代のような雰囲気ですし、廊下に並ぶ調度品も和風のものと洋風のものを混ぜ、視覚的に目につくようなものを入れました。
――そして、「全決」へ入ると、パッと広い世界が開けます。この部屋は、どんなコンセプトでデザインしたのですか?
一番大事にしたのは、入ったときのスケール感です。台本では、完全に部屋として仕切られていたのですが、壁を作るのではなく、空間的につないだほうがいいだろうと考えて、何となくの仕切りはありながらも、奥まで見渡せるセットというものをイメージしました。
――神社仏閣のような重厚感がありながら、外資系ホテルのようなラグジュアリーな雰囲気もありますね。
ホテル的な雰囲気というのは、監督からの希望でもありました。日本ではあまり多くないですが、ヨーロッパでは、古い寺院やお城をホテルに変えているようなところが非常に多く、いろいろと調べるなかで、そういった物件の写真などもイメージソースにしていきました。