「ガツンとやられた」という共演当初の思いとは…さらに、27年間演じてきた室井から得たことを語りました。
――新しいキャラクターが加わる一方、シリーズ初期から登場している新城賢太郎(筧利夫)も室井の前に現れます。
新城は、登場当時は室井を完全に敵対視していましたが、途中から少しずつ室井の気持ちを汲んでくれるようになりました。室井にとっては、彼とぶつかり、彼の思いにすがり、彼に感謝して…という関係性があります。
新城は今作で秋田県警・本部長を務めています。室井は新城へのこれまでの思いを、新城は室井の信念を、お互いしっかり抱いたまま再会します。
――筧さんと再び共演して、どんなことを感じましたか?
筧くんには、出会った頃からやられっぱなしなんですよ。当時「新城という新たなキャラクターが登場します。室井のライバルです」という情報だけいただいた状態で、現場で筧くんと初対面して。挨拶はしましたが、ほかに言葉は交わさず撮影に入ったんです。
彼が作ってきた新城にガツンとやられて、そこから台本にはない芝居も生まれたりして。彼は彼で新城という人物を育んできましたが、今回もまたやられました。
――どんな風にやられたのでしょう。
室井と新城が話し合うシーンがあるんですが、その撮影が終わった瞬間、もう涙が止まらなかった。映像では、室井は後ろ姿しか映っていないですが、実は涙していました。感謝の涙。「筧くん、ありがとう」っていう。筧くん演じる新城の存在は、俺にとってかなりの刺激になりました。青島とは違う意味での刺激と存在感でしたね。
室井のような思いを持って突き進みたい
――シリーズ開始から27年、改めて、室井からどんなことを得ましたか?
自分が思う信念をしっかり貫き通す、強い気持ちですね。現実にはなかなか、そうはいかないですからね。
室井は青島をはじめとする湾岸署の面々と出会い、自分の奥底にあった思いに気づき、それまでの考え方を改めます。そうして、周りに何を言われようと自分の信念に突き進んできた。屈辱的な思いもしただろうし、 敗北感も味わってきたでしょう。表には見えない部分でも、「違うものは違う」と主張しながらやってきたと思うんです。
今回の作品でも、場所は変わっても、自分の信念を貫こうとする思いの強さが表れています。現実には難しいこともあると思いますが、僕も、室井のような思いを少しでも持って、突き進んでいきたいと思っています。
――柳葉さんから見て室井は、尊敬の念を抱くような存在でしょうか。
もっとやり方があるんじゃないの?とは思っていますけど(苦笑)。でも正解はないですし、1人の男の生き様として、信念を貫く気持ちを教わりました。
撮影:河井彩美
ヘアメイク:高階美菜
スタイリスト:佐藤ミサキ
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