――12年ぶりの最新作ですが、どのような気持ちで臨みましたか?

覚悟を決めて引き受けました。脚本・君塚良一さんが描く、プロデューサー・亀山千広さんが愛情を注ぐ、監督・本広克行さんが感じている室井というものに、限りなく近づけるよう頑張ろうという気持ちになりました。

――撮影にあたり、過去作は見たのでしょうか。

見ていません。室井自身は、自分の過去を映像として見られないですからね。僕が当時感じていたことを思い出しながら演じるのが一番だと思いました。

――久しぶりに室井を演じて、変化は感じましたか?

環境が変わっただけで、室井自身は変わっていないと思いますよ。室井は常に、自分が思う正義に向かって生きてきました。今までは警察という組織が相手でしたが、組織に自分の信念を潰(つぶ)されても、思いは消えることなくあるわけです。

自分が思う正義をどうすれば世のために生かせるかという葛藤が、今作で地元に戻って里親になるという選択につながったんだと思います。自分の正義を果たすために迷いながら進んでいく、その姿勢は昔と全然変わらないんではないでしょうか。

ただ、僕自身も含め、年を取ったなとは思います(苦笑)。年相応の歩き方になっているし、体も動きにくくなった。唯一気をつけたのは、できるだけ背筋は伸ばそうということ。見た目では、そこを意識しましたね。

――室井は“青島との約束”を果たせず故郷へ帰りますが、その思いをどのように感じて、演じましたか?

室井は悔しかったと思います。組織のなかでは志半ばで区切りを迎えますが、1人の人間として、青島も納得してくれるような姿を目指して行動しているんではないでしょうか。室井の人生にとって、青島が大きな分岐点になったのは間違いないですからね。

室井の変わらぬ姿勢について語った柳葉さん。本作で『踊る』シリーズ初出演となった福本莉子さん、齋藤潤さんの印象を聞くと、返ってきた答えとは?