かゆみ・におい・恥垢など、デリケートゾーンに関する悩みを解消するため、セルフケアのひとつとして知っておきたい”洗い方”に関する知識。意外と知らないNG行動も含めて、日々のお手入れの参考にしてみましょう。

デリケートゾーンに関する悩みで多いのは“かゆみ”や“におい”

女性300人に対してデリケートゾーンの悩みに関するアンケート調査を実施。その結果、“デリケートゾーンに悩みがある”と答えた人は全体の約54%と、半数を上回りました。

具体的な悩みについて聞くと、最も多かった回答が“かゆみ”で27.3%。続いて“におい”が17.6%、“ムレ”が15.9%という結果に。乾燥やかぶれなど原因はいくつか考えられますが、実は“正しく洗えていないこと”もトラブルを引き起こす原因です。

しかし、そもそもデリケートゾーンを正しく洗えているのか分からないと悩んでいる方に向けて、正しい知識を紹介していきます。デリケートゾーンケアの参考にしてください。

デリケートゾーンの洗い方は“普通に、やさしく”

なかなか相談しにくい、デリケートゾーンのケア方法…。
そのような女性のため、編集部が産婦人科医にデリケートゾーンの洗い方について取材してきました!

お湯だけ、ボディーソープでも問題ない

デリケートゾーンは繊細であるがゆえに、特別な洗い方が必要だと考える人がいます。しかし、神経質になりすぎる必要はなく、身体を洗う延長でケアするだけで十分です。

例えば、デリケートゾーン用のソープが市販されていますが、必ず使わなければいけないわけではありません。一般的なボディソープやお湯だけでも、十分に清潔を保てます。生理や妊娠中でも同じく普段と同じ洗い方で問題なく、やり方を変える必要はありません。

どうしてもデリケートゾーンの乾燥が気になる場合は、シャワー後に保湿ケアを取り入れましょう。デリケートゾーン用の商品ではなく、普段のスキンケアやボディケアで使っているもので問題ありません。

デリケートゾーン用ソープは“使いたいなら使う”

デリケートゾーン用のソープは、必要に応じて取り入れるのがおすすめ。例えば、普通のボディソープだとヒリヒリしやすい敏感肌の人は、デリケートゾーン向けに作られたソープを試してみると良いかもしれません。

また、パッケージデザインや香り、テクスチャーにこだわりのある人は、特別感のあるアイテムを使うことでセルフケアのモチベーションがアップするでしょう。

自分の肌に合うものであれば、基本的に市販されているソープから好きなものを選んで問題ありません。必ず使わなければならないものではないため、特別感をプラスしたいときに使ってみましょう。

女性は気を付けて。NGな洗い方

身体のケアの延長とはいえ、不適切な洗い方をしてしまうと逆にトラブルに繋がってしまう可能性があります。

まず、デリケートゾーンを洗うときは腟内まで洗わないようにしましょう。指や強い水圧のシャワーで洗うと、腟内の環境を守る常在菌が流れ、悪玉菌の繁殖を招くことがあります。

また、ゴシゴシと強く洗わないことも大切です。デリケートゾーンの粘膜付近は皮膚が薄く、擦ると肌荒れにつながる恐れも。傷が生じて細菌が入りやすくなったり、腟周辺の必要な脂質が落ちてトラブルに発展したりするため、やさしくケアしてください。

デリケートゾーンを洗う頻度は入浴回数に合わせる

デリケートゾーンを洗う頻度は、普段の入浴回数に合わせて問題ないです。身体を洗うタイミングで一緒にケアしましょう。

においやかゆみが気になるからといって、必要以上に洗う必要はありません。過度に洗いすぎると、逆に皮膚に負担になる可能性があるため適度な範囲で行いましょう。

デリケートゾーンを洗わないとどうなる?

デリケートゾーンも他の部位と同じく、汚れを落とせていないとにおいの原因になったり、ムレ・かゆみが生じることがあります。洗いすぎる必要はありませんが、入浴時に”普通に”洗うことを意識しましょう。

なかにはきちんと洗えていても生理用品でかぶれたり、下着のゴムで肌荒れしたりしてしまう人も。その場合は、吸水ショーツやシームレスの下着を使用するなどの対策を取るとよいでしょう。

少しでも違和感を感じたら産婦人科を受診

セルフケアをしているのにかゆみが治まらない、においが気になる、不正出血があるといった場合は、感染症や病気が隠れていることも。違和感を感じたときは自己判断せず、クリニックを受診しましょう。

受診する基準は症状の重さではなく、自分が気になるかどうか。少しでも違和感を感じたときに相談できるかかりつけ医を見つけておくと、いざというときもスムーズに対処できます。

この記事の監修者

Inaba Clinic|稲葉 可奈子 院長

産婦人科専門医・医学博士・Inaba Clinic 院長。京都大学医学部卒業、東京大学大学院にて医学博士号を取得、双子含む四児の母。産婦人科診療の傍ら、子宮頸がん予防や女性のヘルスケアなど正確な医療情報を発信。メディア出演、講演多数。小中学生からかかりつけにできる婦人科を作るため2024年7月渋谷にInaba Clinic開院。