自然災害の歴史から防災を学ぶ、「災害遺構プロジェクト」。
あなたの地域で、過去にどんな災害が起きたのか?
全国の災害遺構をめぐり、先人たちが遺したメッセージや災害の爪痕から、
社会科の教員免許をもつ、
フジテレビの上垣皓太朗アナウンサーが災害の歴史を解説。
また、防災士の視点から、防災に役立つ知識を紹介します。
地図にも載っている「自然災害伝承碑」を知っていますか?
上垣アナ:
みなさん、こんにちは。上垣皓太朗です。
地図に、漢字の「文」のような記号が描かれていたら…
「学校」を表していますよね。
こうした地図記号に、2019年、追加されたものがあります。
それは、「自然災害伝承碑」。
見たことがないという方には、お願いがあります。
ぜひこの記号を、このカタチを、覚えていただきたいのです。
上垣アナ:
「自然災害伝承碑」の記号は、過去に起きた津波、洪水、火山災害、土砂災害などの自然災害の情報を伝える石碑やモニュメントを表示しています。
地図を広げれば、過去に起きた災害を知ることができるんです。
私が勤めるフジテレビ周辺の地図を広げてみます。
一番近い「自然災害伝承碑」は、ココ…。
さっそく訪ねてみました。
場所:東京都港区台場1-10(お台場海浜公園)
石碑に刻まれた『関東大震災の記憶』
上垣アナ:
フジテレビから一番近い『自然災害伝承碑』は、マリンスポーツを楽しむ人たちでにぎわう「お台場海浜公園」の中にありました。
この石碑は、関東大震災と東京大空襲の犠牲者慰霊碑です。
災害名:関東大震災 (1923年9月1日 M7.9)
隅田川の河口近くにあたるお台場には、1923年9月、関東大震災の大火で亡くなった人の遺体が流れ着きました。
地震が昼食の時間と重なり、風も強かったことで、東京では大きな延焼火災が発生。隅田川沿いに逃げたにもかかわらず、火の手に囲まれて行き場がなくなり、助からなかった人が多くいました。震災の約10万5000人に及ぶ死者・行方不明者の約9割は焼死とされています。
御霊を弔うため、富川栄さんという方が呼びかけ、地元の人たちにより供養が続けられてきたことが、碑文には記されています。
輝く海を見渡す木立の下で、石碑はひっそりと、でも確かに、歴史を伝えていました。
防災は“わがまちの災害”を知ることからー
上垣アナ:
地域にはそれぞれの個性があります。
それに応じて、同じような災害が繰り返し襲うことがあります。地震はその典型例です。
たとえば、この記事をアップした12月7日は、ちょうど80年前に、南海トラフ地震である「昭和東南海地震」が発生した日です。南海トラフ地震は、おおむね100年から150年の周期で繰り返し発生してきたことがわかっています。
みなさんが住む地域 “わがまち” で過去にどんな災害が起きたかを知ることで、防災に役立てることがきっとできるはず。
まずは、「地理院地図」と検索して、お家の近くに、「自然災害伝承碑」のマークがないか、さがしてみてください。そしてできれば、訪ねてみてください。
伝承碑をきっかけに、そこに記されていること以外にも何があったのか、私も探求心のままに、動き出そうとしています。
地域の災害の歴史にもっと注目したい…そんな気持ちで、全国の災害遺構を紹介するこの「災害遺構プロジェクト」を始めます。