<山谷花純 コメント>
ーー山谷さんが思う『アンメット』の魅力、また、ミヤビとの共演シーンで好きなシーン、印象に残ったセリフがあれば教えてください。
視聴者の方々を信じているところです。セリフで説明し過ぎず余白の部分をきちんと残しての作り方は、近年のドラマでは珍しいと思いました。
だからこそ、より想像力がふくらみ、言葉に表せない感情がわき出てくる。今作の大切なテーマである「記憶」に結びついていると感じます。
第5話でミヤビの家に泊まったシーンは、とても思い入れがあります。
「今回、杉咲花も、役の川内ミヤビも、特別扱いせず、ごく普通の1人の人間として向き合う」と、自分と約束して現場を過ごしていて。
たまに雑に返答してしまい、ほっぺたをふくらまされるときもあるのですが、その時間も、なぜか愛おしくて。レンズに映らない景色や強く残る記憶の積み重ねがあって残せたシーンだったと思います。
ーーここまで周囲の反応・反響は?
家族。友人。応援してくださっているファンの方々。たくさんの人から作品の感想をいただきました。花さんと若葉さんが先陣を切って紡いできた思いが届き始めたと実感して、すごくうれしかったです。
その中でも、理学療法士をやっている妹からの言葉が印象的でした。「『アンメット』で扱う症例は、ドラマではあまり取り上げられないけど実際多くの方が抱えている症例なの。患者さん側の世界を初めて見られて勉強になる」と。
いろんな見方がある作品なんだなと思いました。
ーー撮影現場でのエピソードを教えてください。
撮影当初、足が子鹿みたいに震えるほど緊張が止まりませんでした。
普段、ここまで緊張することがないので、自分でも戸惑っていると、若葉さんがそっと寄ってきて「目線とか、やりにくいことがあったら何でも言ってください!」って声をかけてくださいました。
若葉さんは少ない言葉で多くのことをくみ取っていると自然と感じられる、三瓶先生と一緒だって思った瞬間でした。
ーー『アンメット』の現場で好きなところは?
みんな違って、みんな良い。真面目な性格の人が多く、だからこそ人の気持ちに繊細な空気感が漂っている気がします。役の大小関係なく意見交換をしやすい環境があるのも、そこにつながると思います。
それぞれの役への思いがしっかりあるから耳を傾けたくなるし、客観的な意見も知りたくなる。通常、時間に追われがちなドラマの現場とは違う作り方に胸が熱くなります。
ーー視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
この作品がみなさまの明日へとつながるきっかけになればと、キャストスタッフ一同、誠心誠意向き合って撮影を重ねております。
通常の台本には、感情を説明するト書きというものが多く書かれているのですが、今作では、横棒“――”だけのページが多く、役者に委ねる作りになっています。
形はないけれど確かにある心。自分の感情なのか、役としての感情なのかわからないけれど、忘れたくないなぁ、終わりたくないなぁ、ってミヤビの笑顔を見るたびに、こみ上げています。
そう思える作品と出会えたことは、少なからず自分にとって明日へつながっているのだと思うのです。1人でも多くの方々へこの作品が届き、自分の人生と重ねて見ていただけたらうれしいです。