『再生のウズメ』は、元子役で、28歳まで劇団で舞台俳優を志していた主人公・田村ウズメ(イモトアヤコ)が、ある出来事をきっかけに、12年間引きこもりに。そんななか、「便利屋救ちゃん」の代表・興梠(白洲迅)と出会ったことで、人生を少しずつ再生していく物語です。

<試写室>『再生のウズメ』第3話

―――イモトアヤコさんの眉毛について、改めて考える(急に)。

私たちは、イモトアヤコさんという人物を誤解していたのかもしれない。

いや、もちろん、今となっては、かつてのような太い眉毛をしていることもあれば、そうでないこともある。そもそも、もはや太眉ではないのかもしれない。

けれど、あの、あえて太く塗りつぶされた眉毛。その強烈な“記号性”によって、私たちはイモトさんの顔を、誰よりも目立つ、ファニーでキャッチーなフェイスとして認識してきた。

そして、ここに一つの錯覚が生まれる。

たとえ太眉がなくなったとしても、私たちは、あたかもそこに太眉が存在するかのように、彼女の顔を見てしまうのだ。

すでに失われたはずの“記号”を、見る側が勝手に補完してしまう。太眉ではないイモトさんを見ているはずなのに、いつまでたっても、ファニーでキャッチーなフェイスとして認識してしまう…。

つまり、イモトさんの太眉とは、単なるメイクではなかった。それは、太眉がなくなったあとでさえ、見る側の認識に残り続ける、極めて強固なイメージだったのである。

では、今作のイモトさんはどうだろうか?

今作における彼女は、バラエティのイモトさんではない。まぎれもなく、女優・イモトアヤコである。

しかも、演じるのは、40歳まで引きこもっていた女性・ウズメ。化粧もおぼつかず、おそらくはノーメイクに近い、飾り気のない姿で日々を過ごしている人物だ。

そうなると、どうだろう。

周囲を固めるのは、いかにも俳優然とした、年季の入った俳優陣。そこに、ノーメイクで、太眉でもない、地味なイモトさんが存在する。

すると、彼女は、どこにでもいる、目立たない、質素な市井の人物に見える…どころではない。あろうことか、有象無象の中に埋没してしまっているようにすら見えるのだ。

あのイモトアヤコさんが、である。

誰よりも目立つはずだった、あのイモトさんが!!!

ここで私たちは、ようやく気づかされる。イモトさんという人物を、あれほどまでに目立たせていたのは、彼女自身の顔立ちだけではなかったのだ。

あの太眉という強烈な記号が、彼女の顔を、彼女という存在を、誰よりも目立つものにしていたのである。

恐るべし、イモトさんの太眉の威力!!!

…と、ここまで眉毛について大真面目に論じてきたわけですが、もちろん、話はここで終わりません(長いよ!)。

なぜなら、今作において、イモトアヤコ=ウズメが埋没して見えることは、決して、主人公としての存在感が希薄だということではないのだから。

むしろ、その埋没こそが、今作の物語を成立させる重要な要素になっている。

誰かの身代わりとなり、誰かを演じる。そんな仕事を請け負うウズメにとって、最初から強烈な個性を放ち、どこにいても目立ってしまうことは、必ずしも必要ではない。

むしろ、何色にも染まっていない、白いキャンバスのような存在だからこそ、演じる相手に応じて、さまざまな姿を描き出すことができる!!

そして、もう一つ重要なのは、そんな彼女が、物語の最後には、れっきとした主人公として姿を現すこと。

周囲に埋没していたはずのウズメが、自分自身の思いを語る。その瞬間、彼女は誰かの身代わりでも、誰かを演じるための存在でもなく、自分自身の言葉を持つ一人の人間として、物語の中心に立つ。

埋没していた存在が、主役へと踊り出す――。

その変化、そのグラデーション。その高揚感を味わうことこそが、『再生のウズメ』というドラマの醍醐味なのです!!!