<竹下洋平(ディレクター)コメント>

藤岡さん一家が、戦争で心に深い傷を負ったお父さんの暴力をきっかけに、ばらばらになってしまったというのは非常に重たいことです。そうした心に傷を負った兵士とその家族の悲劇が、これまで特に社会に気にも留められていなかった現実があります。

心の傷を負っている兵士の存在は、戦時中から軍で認識されていながらも、戦後に至るまで隠蔽され続け、本人とそのケアをすべて押しつけられた家族が苦しんできました。

戦中・戦後とずっと存在がなかったことにされてきて、ようやく調査をするとなった今でも、当時治療を受けなかったからと対象にすらされない。

戦争を始めた国が最後の最後まで何も責任を取らないというのは、理不尽ではないでしょうか。

きれいな言葉で「戦争の惨禍を繰り返さない」と、決まり文句のように言われますが、これまで国が起こした戦争によってどれほどの傷が生まれ続けてきたのかという現実を、きちんと直視していただきたいです。

今年、「反省」という言葉は全国戦没者追悼式の式辞で使われませんでしたが、現実を直視して、二度と戦争をしないという未来に向けて考えていってほしいです。