5月29日(金)、『ザ・ドキュメント 冤罪・甲山事件 山田悦子 半世紀の闘い』が放送されます。
「カメラ取材を受けない冤罪者」山田悦子さんに初の密着取材
一度も有罪判決を受けることなく、三度の無罪を経て21年間に及ぶ裁判が終わった甲山(かぶとやま)事件。
カンテレは、甲山事件の冤罪(えんざい)者・山田悦子さん(74)にメディアで初めてとなる約2年の長期密着取材しました。
弁護士資格を持ち、罪に関する取材を重ねてきた異色の”弁護士記者”上田大輔ディレクターが、日本の司法の闇に切り込みます。
日本裁判史上類例のない長期裁判「甲山事件」冤罪者が語る、日本の司法・報道の闇
「冤罪者は死ぬまで冤罪者だってことには変わりありません」――。
そう語るのは、21年間の裁判の末、三度の無罪を経て殺人事件の被告人から解放された山田悦子さん。無罪が確定したときは、事件発生から25年が経過していました。
かつて過熱した事件報道に心を痛め「不起訴処分を出してもらっても、一旦マスコミによって騒がれ、犯人視されたものは一生消えませんから」と語っていました。
「多くの支援者に囲まれていたけど、被告人は私だけ。常に孤独でした」と語る、山田さんの支えになったのは、意外にも約150年前に書かれた1冊の法学書でした。
今回、これまでメディアの取材を拒んできた山田さんが、初めて長期のカメラ取材に応じたきっかけは、上田記者が、刑事司法の構造に切り込んだ自身のドキュメンタリー『ザ・ドキュメント 逆転裁判官の真意』(2023年11月放送)のDVDと手紙を山田さんに送ったことでした。
『ザ・ドキュメント 逆転裁判官の真意』は、カンテレNEWSチャンネルで全編配信中:https://youtu.be/lKXhE9P2_ig?si=jsrJ36gPNld99uAF
「上田さんの刑事司法に対する絶望が伝わってきた」。山田さんから取材を受けるとの返事があり、密着取材が始まります。
上田記者は、無実の罪に問われた人を救う弁護士を志し、司法試験に合格するも、有罪率99.8%の刑事司法の現実に絶望し、企業内弁護士としてカンテレに入社。
しかし、一度は背を向けた刑事司法の問題に向き合おうと記者になり、“有罪推定”ともいえる日本の刑事裁判のあり方に疑問を投げかける報道を続けてきました。
事件発生から約半世紀が経過した甲山事件について、上田記者は「冤罪を生む構造がよくわかる事件。今も変わらない日本の刑事司法の姿が浮き彫りになる」と語ります。
甲山事件の概要と再逮捕の経緯
1974年、兵庫県西宮市にある知的障害児の施設・甲山学園で、浄化槽のマンホール内から児童2人の遺体が発見されました。警察は、殺人事件として捜査し、保母として働いていた当時22歳の山田さん(旧姓:沢崎)を児童殺害容疑で逮捕。
山田さんは身に覚えがないと否認するも、執拗(しつよう)にアリバイ説明を求める警察の取り調べで精神的に追い込まれ、逮捕から10日後に無実の罪を認めてしまいます。その後、自白を撤回した山田さんは釈放され不起訴になりましたが、自身の潔白を明らかにしようと、釈放後に国家賠償訴訟を起こしました。
結審も見えてきた1978年2月、同じ容疑で検察が山田さんを再逮捕・起訴。一度不起訴になった事件がなぜ起訴に転じたのか。それは、事件から約3年後に語り始めたという複数の元園児の証言でした。
検察が物的証拠もない状態で、元園児たちによる矛盾をはらんだ数年後の証言を”新証拠”として殺人罪で起訴したことについて、上田記者は「当時の判決文等を読みながら、有力な証拠が一つもないことに背筋が凍るような思いがしました」と語ります。
上田記者は、揺さぶられっ子症候群(SBS)に関する報道で日本民間放送連盟賞最優秀・ギャラクシー賞選奨など数々の賞を受賞。一連の取材をもとにした昨年9月公開の映画『揺さぶられる正義』は、「ワールドメディアフェスティバル」金賞、「ニューヨークフェスティバル TV&フィルムアワード」銀賞を受賞するなど、国内外で高い評価を受けています。
宮田輝美プロデューサーと、平田周次カメラマンは、映画『揺さぶられる正義』のスタッフ。樋口耕平 撮影(再現)担当は『希容の形』(2021年8月放送)でベネチアテレビ賞金賞など数々の受賞歴があります。
ドキュメンタリーでは珍しい、再現ドラマやカンテレに眠る25年にわたる事件のアーカイブ映像などを交え、事件から半世紀を経た今、山田さんの人生をたどり、甲山事件が残した教訓を探ります。
『ザ・ドキュメント 冤罪・甲山事件 山田悦子 半世紀の闘い』(関西ローカル)は、5月29日(金)25時15分より、カンテレで放送されます。
