脚本家の井上由美子さんが、火9ドラマ『さよならノワール』終盤の見どころを語りました。
本作は、警視庁西池袋署に新設された「犯罪被害者支援室」(※)が舞台の、警察ヒューマンドラマ。元刑事・黒木夏海(小池栄子)と心理学者・白石絵梨子(北香那)が、犯罪被害者や遺族らが再び人生の歩みを進めることができるように寄り添い、初動としての支援をしていく姿を描いています。
(※)警視庁内に実在する部署。本作では、警視庁西池袋署という架空の警察署の中に新設された設定になります。
鴨居(岡山天音)は妹を亡くした犯罪被害者…当時の犯人が再び事件を起こす
物語もいよいよ終盤となる第9話では、新宿中央署の管轄で、9歳の少女・上川陽菜(佐藤恋和)が男に誘拐され、自力で逃げ出して保護されます。犯人は捕まっておらず、西池袋署にも警戒を強めるよう指示が。
どこか様子のおかしい鴨居卓海(岡山天音)は「新宿中央署へ応援に行きたい」と申し出ますが、署長の妹尾和馬(利重剛)は認めません。鴨居は白石絵梨子(北香那)に「長い時間ってどれくらいのことを言うと思う?」と尋ねます。不思議に思いながらも丁寧に答える絵梨子。
その最中、誘拐事件の犯人が特定されたと連絡が入ります。陽菜を誘拐した熊沢学(杉山圭一)は、20年前にも同じような事件を起こしていたのです。当時8歳だった立花晶子(伊藤かれん)は熊沢の自宅に連れ去られ、逃げようとしてベランダから飛び降りて死亡。熊沢は当時18歳で少年法により保護処分になっていました。
妹尾と桑原栄二(荒川良々)が支援室を訪れ、20年前の事件で亡くなった晶子は鴨居の実の妹だと打ち明け驚く黒木夏海(小池栄子)と絵梨子。熊沢は実名報道されませんでしたが、被害者である鴨居の家族については連日報道され、鴨居の両親は事件の影響から相次いで病死していました。
「鴨居が熊沢に復讐(ふくしゅう)するのでは」と危惧する妹尾らに、絵梨子たちはそのリスクは低いのではないかと伝えます。しかし鴨居を放っておくことはできず、絵梨子は鴨居を犯罪被害者として支援できないかと提案。そんな中、鴨居は無断で熊沢についての聞き込みを続けていて…。
井上さんに、今後の見どころについて聞きました。
井上由美子 第9話の撮影で監督から「手応えがあった」と連絡
――本作には魅力的なキャラクターが多く登場していますが、特に岡山天音さん演じる巡査部長・鴨居卓海が、物語のキーパーソンという印象です。
鴨居はもともと犯罪被害者の家族で、そのことが第9話で描かれます。鴨居が当事者となった頃は、犯罪被害者支援の制度が現在ほど整っていませんでした。
そんな過去を抱えた鴨居を、夏海と絵梨子が支えるという展開になっています。岡部たかしさん演じる精神科医・五十畑修教授の過去とも絡んでくる、作品のコンセプト的にも重要な回です。
河毛俊作監督からも「撮影してすごく手応えがあった」と連絡をいただいたので、私自身、放送が楽しみです。ぜひ注目していただけたらと思います。
――全編を通して、特に思いを込めたセリフやシーンはありますか?
もちろん、すべてに気持ちを込めていますが、第1話に夏海のセリフとして、犯罪被害者支援が目指すところは「(心の)救命かな」という言葉を入れました。短いセリフですが、狩野雄太プロデューサーや河毛俊作監督と話し合って決めた大事なセリフです。全編に通じる柱のような言葉になってくれるといいなと思います。
ストーリーで言いますと、鴨居の過去がわかる第9話と、夏海の元バディで行方不明になっている山崎創(渡部篤郎)をめぐる最終話は、特に力を入れました。登場人物の気持ちが揺さぶられるエピソードを、出演の皆さんが力強く演じてくれています。
そして、シスターフッドのような関係である夏海と絵梨子が、先輩・後輩で終わるのか、友人になれるのか、それとも…という着地点も、二人らしい、楽しく、かつ泣けるラストです。最後まで見届けてほしいです。

