クリスティーナと弟・アルヴァロが暮らすオルソン・ハウスを30年にわたり描き続けた
ワイエスは、もっぱら生まれ故郷のペンシルヴェニア州と夏の家があったメイン州の2ヵ所を題材としていましたが、クリスティーナと知り合って以来、彼女が弟のアルヴァロと暮らすメイン州のオルソン・ハウスを30年にわたって、描き続けました。
《オルソンの家》(1939年)
初めて訪ねた日に描いた記念すべき1作目《オルソンの家》は水彩画。ワイエスは車の屋根に座ってスケッチしたそうで、その様子をクリスティーナが面白がって見ていたといいます。
ワイエスはオルソン・ハウスの2階をスタジオとして使わせてもらっていて、食事も一緒にしていたのでしょう。朝食の準備をしている煙がたなびく様子も描いています。
《オルソン家の朝食》(1967年)
しかし、この絵を描いた年の暮れにアルヴァロが、そのわずか1ヵ月後にクリスティーナも亡くなり、オルソン・ハウスは主を失いました。オルソン・ハウスを描いた最後の作品となったのが《オルソン家の終焉》。煙突から出る煙はもうありません。それでも、ワイエスはこの絵を描いていて、話し声が聞こえてくるように感じたそうです。
《オルソン家の終焉》(1969年)
生涯アメリカ芸術界の第一線で活躍し続けたワイエスは、2009年に亡くなりましたが、本人の希望で、オルソン家の墓地に埋葬されました(のちに妻・ベッツィも埋葬)。
自らが描き続けていた地に、モデルとしていた人たちと眠る、そこまでのつながりを紡いだ絵の数々が東京で見られるのは来月7月5日まで。その後は、愛知の豊田市美術館(7月18日~)、大阪のあべのハルカス美術館(10月3日~)での開催が予定されています。
