今大会から採用された新種目、スキーフリースタイル男子デュアルモーグル。
2人の選手が同時に滑走し、ターン・エア・スピードの3つの要素を競います。
トーナメント方式で、負けたら終わりの一発勝負。その緊張感や相手との駆け引きに、実力者でも転倒やコースアウトが相次ぐ、危険とも隣り合わせの競技です。
最大のライバルとの決勝
2月15日、日本中が固唾をのんで見守ったのが…先週、シングルで銅メダルを獲得した堀島行真選手(28)。
1回戦は不戦勝で2回戦から登場すると、いきなり波乱の展開で幕を開けます。
スタートとエアは決めましたが、相手選手がバランスを崩しコースアウトすると…その直後、堀島選手もバランスを崩し、そのまま2回目のエアに…。なんとか着地しますが転倒。すると、最後は後ろ向きのままゴール。
レースの結果は…相手選手が先にコースアウトしていたため、堀島選手が2回戦を突破。
その後、準々決勝、準決勝は完璧に決め、決勝の舞台にコマを進めます。
相手は“モーグル界の絶対王者”。カナダ代表・キングズベリー選手(33)です。
悲願の金メダルに向けた、最終決戦…。
途中スピードに乗り、前に出た堀島選手。しかし、コブに足をとられ、バランスを崩してしまう結果に。
一方、キングズベリー選手は最後までノーミス。レジェンドらしく完璧にまとめました。
金メダルへ、あと1歩及びませんでしたが、競技後、堀島選手は…。
堀島行真選手:
キングズベリー選手の意地を見たなと。どんな強い力で(競技を)やっていければ金メダルに届くんだろうというような、すごい想像力が沸くような一日になりました。銀メダルへ来るのも簡単ではなかったので、最後1勝できるかどうかというところまでこられたのは上出来なんじゃないかなと思っています。
元日本代表・里谷氏解説「耐えて耐えて…」
『サン!シャイン』では、長野五輪のモーグルで日本初の金メダルを獲得し、ソルトレークシティ五輪では銅メダルを獲得した里谷多英氏に、堀島選手について解説していただきました。
――2回戦の堀島選手のねばり強さについて、いかがでしたか?
里谷多英氏:
堀島選手は1本目からかなり飛ばしてきて、多分100%で来たと思うんですけど第2エアであんなにバランス崩して入っても、耐えて耐えて耐えて後ろ向きでゴールするほど金メダルへ気持ちが強かったんだろうなと。執念でしたね。
――バランスを崩した後どうやってすぐ体を立ち直せる?
体をビョーンって伸ばして耐えて耐えて転ばないように耐えるんですけど、最後はオーバーして転んじゃうんですけど。
――転んで入ってもOK?
転んで入っても、相手が先に失敗して旗門の外を回っちゃっていたので。もし相手のそれがなければ分からなかったです。
――結果、相手選手はコースアウトで途中棄権だったということもありますが、状況は堀島選手、分かっていたんでしょうか?
もしかしたら分かっていたと思うんですけど、でも分かっていたらあそこまで飛ばしてあんな入り方するかなとも思うので、もしかしたら失敗しているのが目に入っているか入っていないかぐらいだったのかなという。
デュアルはこっちが先に失敗しても向こうも失敗する可能性があるので、最後まで滑ることがすごく大事なんです。
――決勝の滑りはどう見ていますか?
第1エアまでは完璧だったんですけど、デュアルでいうスピードってそんなに比率は大きくないんですよ。だけどみんなこうやってスピード出してくるというのは、スピードが速いとターン点が上がる。ターンの印象点もありますし。
なので、みんなどんどんスピードを出して限界を超えてしまうんですけど、堀島選手はキングズベリー選手が最大のライバルだったので、どんどんスピードを上げていった結果オーバースピードになってしまったという。
(第2エアは)もうあの速度で入ったら本当に何回でもぐるぐる回って死んじゃうぐらいのスピードだったので、あそこではもう回れなかったんだと思います。
佐々木恭子キャスター:
でも終始一貫攻めてましたよね。かなりアグレッシブな滑りというか。
里谷多英氏:
本当に彼はどんどん限界を超えてうまくなっていっている選手なので、今回も100%以上のものを出したんだなというふうに感じました。
妻への感謝
実は堀島選手、試合の前日に携帯をなくしてしまい、妻が探しに行ってくれたそう。
競技後、家族のサポートについて「本当にささいなすべてのトラブルから助けてくれてます」と語っていました。
里谷多英氏:
奥さまの輝紗良さんも、もともと選手をされていて、北京オリンピックも一緒に2人で出場しているんですけど、2人ともかなり穏やかな選手。
谷原章介キャスター:
そういう同じ競技をやってた人が家族、パートナーでいるってことはとても心強いことですか?
里谷多英氏:
とても心強いと思いますよ。行真選手の勝ち方だったりとか、そばでずっと見てきている奥さまなので、今回は平常心を保てるように普段の生活を心がけていたって聞いてますし。
谷原章介キャスター:
(長野五輪で)ゴールドメダルを取った里谷さんからご覧になって、今回の堀島選手、いかがでしたか?
里谷多英氏:
五輪の大舞台で1440をかけてくる彼のメンタルに本当に感動したし、レベルをすごいグッと引き上げてくれたんだなっていうふうに思いました。
渡辺和洋アナウンサー:
ついつい「次は4年後」ってすぐ言ってしまいますけれども、4年の間の戦いもしっかり応援していきたいですよね。
(『サン!シャイン』2026年2月16日放送より)
