ナレーション収録を終えた岡崎さんにインタビュー。大きな覚悟を持って奮闘する葵さんや、時代の流れに直面する駆け込み寺を見て感じたこと、岡崎さん自身が2025年を振り返って思うことなどを聞きました。
岡崎紗絵「並の覚悟ではないことは、きっと伝わっている」
――人々の居場所を守るために奮闘する葵さんを見ての、感想を聞かせてください。
26歳とは思えないほど、しっかりされていると思います。歌舞伎町のいろいろな問題を一挙に抱えて、ものすごい重圧だろうなと思うと、胸にグッときました。歌舞伎町・トー横の現状を知っている方は多いと思いますが、それを自分事と捉(とら)えて、自ら中に入り、先陣を切って活動していくというのは、素晴らしいことだと思います。
――老若男女を巻き込んで活動していくところも、葵さんの魅力ですね。
並の覚悟ではないことは、きっと周りにも伝わっているでしょうし、「自分も支援したい」「何か協力したい」と思わせる人柄があるのだろうなと思いました。
――さまざまな利用者、支援者が登場しますが、印象に残っている人はいますか?
葵さんが「師匠」と慕う、駆け込み寺の創設者・玄秀盛さんです。今回、2003年当時のインタビュー映像もありましたが、師匠は20年以上という長い間、新宿・歌舞伎町でいろいろな人を見て、傷ついた子どもたちにも、きっと一番に関わっていて。そんな師匠も補助金打ち切りのときは、葵さんに苦しい本音を漏らすほど行き詰まっていたのだと思うと、胸にズシンと来ました。
――駆け込み寺に通っていた若者たちが、葵さんを慕って活動を手伝うようになるなど、支援の輪が広がっていきます。
みなさんお若いながら、いろいろな経験をしていて、その経験に共感する子たちがたくさんいて、また新たな支え合いが生まれて…というのは、すごく良いことだと思います。救われる人は絶対にいますし、人間関係がちょっと希薄な今の時代だからこそ、同じ思いを抱えた同士で頑張ろうというのは、すごく素敵なコミュニティだなと思いました。
――葵さんのお父さんも登場し、愛娘の将来を心配します。
やっぱり親御さんは心配ですよね。まだ26歳ですから、これから仕事やプライベートでもっと輝いていくであろう自分の娘が窮地に立たされていたら、心配しない親はきっといないだろうなと。でも、その中でもがいている葵さんからすると、ちゃんとやってるから!と思うでしょうし…。
――最近は、駆け込み寺などで人に話を聞いてもらうのではなく、AIに相談する人が増えているという話もありました。
時代は発展したけれど、今は昔と比べて、人の温もりがあまり感じられなくなってしまったのではないでしょうか。人と人が密に関わったり、ぶつかり合ったりという場も少ないので、ちょっとした相談事もなかなか言い出せない。人は“遠いところにいるもの”というか。たぶん今のほうが、何度もコミュニケーションを重ねていかないと、心の扉はなかなか開けにくいのではないかなと思います。
