<菊谷雅美(ディレクター)コメント>
プライベートでメダデ教会を訪れると、繰り広げられていた光景は、中学校・高校とプロテスタントの学校に通っていた私が知るキリスト教とは、まったく異なるもの。度肝を抜かれました。怖いもの見たさのような感じで始めた取材でしたが、抜け出せなくなり、気づけば5年という歳月が流れていました。
取材に行くと、必死に生きなければいけないと、自分に喝を入れたくなります。西田さんは、周りの目を気にせず、全身で感情を表現する方です。その姿は、ときに敵を作りやすい危うさも孕(はら)んでいますが、飾らずすべてをさらけ出すからこそ、強烈な「生」を感じます。当初は、なぜこれほどまでに西田さんに惹(ひ)かれるのか、自分でもわかりませんでした。
しかし、彼女は救うことによって救われているんだろうなと感じ、その本気さに、共感する部分が出てきました。タイトルにした『歌いたいんや』という言葉は、まさに彼女の生き様そのものです。
血のつながりがなくても、人は家族になることができると思わされました。多様化する社会において、「家族の形」を考えるきっかけになればと思っています。
