<中村雅俊&小澤竜心 コメント>

――演じるにあたって準備したことはありますか?

中村:磯部豊春は会社の社長ですので、まず“部下との関係”をどう見せるかは考えましたね。部下たちに対しては、厳しくもあり、また愛あふれるやさしさで包み込みたいなという気持ちはありました。

ただ、厳しいところを出せる場面が、これまであまりなくってね。第7話で、初めて少し違った面が出てくると思います。

小澤:碧は、心を閉ざしている人物で…僕自身は、結構オープンな性格なので、まったくタイプが違うんです。

だから、過去にいろいろ複雑なバックボーンがある碧を演じるために、人生や人について深堀りするような映画などをよく観て、まずは“考える”時間を作ったりしました。

それが直接何か役につながったのかはわかりませんが…自分の中の引き出しとして、そういった複雑な感情や背景を一度受け止められたらいいのではないかと思って、やってみました。

中村:確かに、ちゃんと見えてましたね。碧には「過去に何かあったんじゃないか…」という、何か重いものを背負っているように感じましたよ。

これまでは、そういった碧の過去のエピソードがはっきり出てくる描写はなかったけれど、今回の第7話で、彼の生い立ちから、今日に至るまでの歴史が見えてくるんですよね。

――碧が事故に遭い、樹と豊春が病院に行くというシーンは、碧が感情を高ぶらせて“泣く”という大事な場面でした。

中村:豊春としては、初めて本音で、またこれまでの豊春とは少し違う部分が出せた場面です。私としては、ちゃんと本音を込めることができたかなと思います。

その言葉が、碧に届いているんじゃないかなと思いながらやっていました。小澤くんも、素晴らしい“泣き”シーンができていましたね。

小澤:ありがとうございます。おそれ多いです…。台本に“泣く”とだけ書いてあって。ホントに、そのシーンを撮る前まで、ずっと緊張していて。“泣く”しか頭になかったです(笑)。

「どう泣けばいいんですか?」って、八木(莉可子)さんや塩野(瑛久)さん、いろんな人に聞きしました。泣ける映画を観たりして(笑)。試行錯誤でした。

中村:でも、そうやっていろいろ試してみたり、周りに聞いてみたとしても、結局“泣く”ということは、自分の“泣き方”なんだよね。結局は。

小澤:そうですね。初めて、雅俊さんとそのシーンを一緒に撮影するときは、気持ちが入りすぎてしまって、僕の思っていた以上に、すごく泣いてしまっていました。考えていたことがそのままでは、もちろんないんだなと。

中村:方法論になるんだけど、役者ってテスト、リハがあるから…。泣いたりするときって、ついテストで大泣きしちゃって、本番のときに出てこないって意外とよくあったり(笑)。そういうのを計算してする人もいるし、そのまま自然体な人もいる。

“涙”が出ていることが重要とは俺は思わないし、泣く理由がちゃんと伝わればいい話でいろんな方法論がある。演出家が「ここは涙出さなきゃダメだ」と決めることでもないと思うし。自分なりの“泣く”が見ている人に伝われば、それが一番だと思いますよ。

――草彅さんも「そのシーンすごく良かった」とおっしゃっていました。

小澤:そうですか。うれしいです。剛さんと一緒の撮影シーンで、樹さんは、そばにはいるけど“何も言わない”というシーンではあったのですが、その後に、樹さんの寄り添ってくれるセリフがあって。

また、そのシーンは、とても感じるものがあって…。人ってすごいんだなって、改めて感じました。

――昨年芸能生活50周年を迎えられた中村さんから見て、小澤さんはどう映っていますか?

中村:小澤くんは、しばらくしてから、また会いたい存在ですね。どんな青年になっているんだろうと。

今、大学生でしょ。これから、どんどん環境が変わっていって、役者としてダンサーとして、たくさん表現の幅を広げていくんだろうけど、どんな青年になるのか、すごく興味を持たせる魅力ある青年です。ちょっと楽しみですよね。

何年かして、「久しぶり~」って会って、「活躍してるね~」とか言うのが楽しみです。

小澤:僕の父親が、雅俊さんの大ファンで、キャスト発表のとき、父から電話かかってきて「なんで教えてくれなかったの?」って言われました(笑)。

僕もご一緒させていただいて、大きなものに包まれているような…心が落ち着くんですよね。

役者だけでなく、スタッフさんへの接し方とか、役に対する向き合い方とか、いろいろな面で常に学ばせていただきました。

――最後に今後の見どころ、視聴者のみなさんへメッセージをお願いします。

中村:舞台となる会社は遺品整理の会社で、それぞれにいろんな形の「死」というものがあります。「死」というものを意識すると、つまり「生きる」ことにつながるなと感じます。

「死」に真正面から向き合うと、「どう生きてきたか、また、どう生きるのか」を人間に問う。そういった面があるドラマだなと思います。

そして、ただのヒューマンドラマではなく、実はサスペンスでもあったり。え?あの「死」には、そんな裏が隠されているのか…そして次は、ラブストーリーが加味されるという。ぜいたく欲張りなドラマですので、最後まで見逃さずご覧いただければと思います。

小澤:登場人物それぞれのいろいろなストーリーが絡み合っていて、最終的にそれがどう辿り着くのか、とても気になるドラマになっているかなと思います。

僕が演じる碧自身も、このドラマの回を重ねるごとに、成長していきます。いろんな人の人生が描かれている、人生について勉強するドラマだなと思います。ぜひ最後までご覧ください!