尾碕理事長(稲垣吾郎)にも一筋の光が指す結末に

――稲垣吾郎さん演じる、尾碕理事長も気になります。

大森:稲垣さんは、以前カンテレさんで書かせていただいた『ハングリー!』にもご出演いただいていて、またカンテレさんでご一緒できたことがとてもうれしかったです。舞台と同時進行でとてもお忙しいのに、役柄や物語そのものついて深く読み込んで演じてくださってありがたいです。

岡光:誰もが知るスターなことは大前提で、近年はニッチな作品にも出演されている。作品選びも含め、すごくステキだなと思っていました。映画もドラマも全部いい。ミステリアスで何を考えているかわからないところも魅力的ですよね。

あんなにキャリアが長いのに、現場ではいつも芝居に真摯で前のめり。20歳くらい年下の監督にも自ら質問をされていて、たとえ自分の意見とちょっと違っていても「そっちの方がいいね!」「おっしゃる通り」と受け止め、やってみようとトライしてくださる。ほんとうにステキな方です。

大森:最初は健治さんがめちゃくちゃで、尾碕さんが強者に見えていたと思います。でも、健治さんが成長していくにつれて、尾碕さんの強さの裏の弱さや危うさが映し出される。そんな二人が真正面からぶつかり合うのが最終話です。尾碕さんにとっても、一筋の光が差し込むような結末になればと思っています。

――北原さん(中野有紗)の家庭環境が明らかになった第8話で、「ずっと…18年間生きてきてずっと、どこか違和感がありました。何かが間違っているのに、そのまま電車で運ばれていってるみたいな違和感」というセリフから、銀河鉄道を背景に、生徒たちが現代に対する疑問や違和感を口にする演出が強烈でした。

大森:もしも、学園ドラマを書くことになったら、いまの若い人たちにどう声をかけたいかずっと考えていました。楽しいこともあるけど、辛いことも大変なこともいっぱいあるよね。大丈夫かな?いま何を考えているのかな?とか。

私たちも悩んでいたけれど、いまの世代にはまた違う悩みがあると思う。そんななかで進み続けなければならない辛さと、「頑張るあなたを誰も見ていないわけじゃないよ」「一人じゃないよ」という思いを、どこかの回で上手く乗せられたらなと。

北原さんのキャラクターは、第1話からなにか心に残る強さがあって、頼もしかった。彼女の言葉を借りれば、いまを進んでいくことが不安な人たちにも、声をかけられるかもしれないと思いました。

大森:私たちも「このままじゃいけない」「なんかおかしいな」と心のどこかでは気づいている。高校に入って、大学に行って、普通に就職して、これで良かったんだろうか…みたいに。そんなことをふと考えたりするなかで、第8話は「まだ変えられるよ」と言ってあげたかった。

実際に変えられるかはわからない。それでも、学生の北原さんが「私が変える」と言える回にしたかった。世の中にはそんなことを言える人ばかりじゃないけど、北原さんなら言ってくれそうだと、彼女に託した回です。

大森:実はあのシーン、どういうふうに受け止められるかなと心配していました(笑)。大丈夫かしら…と。