――メインキャストが全員20代、松本監督も27歳と同年代の皆さんがタッグを組んだ現場の雰囲気について聞かせてください。
撮影に入る前、監督やプロデューサーさんと台本を読みながら、「どうして千明はこの場面で昴への想いを伝えたかったのか」などの心情を深掘りしつつ、撮影に入ってからも、ディスカッションを重ね、さらに、照明部や撮影部など各部署の皆さんがアイデアを出しながら進めていく現場がとても新鮮でした。
福本莉子 千明と昴の恋は「吊り橋の上にいるような心境」
――常に隣にいる存在だった昴が芸能界に入ったことで、千明との関係性にも変化が生じていきます。そんなラブストーリーを演じた感想を聞かせてください。
二人は幼いころから一緒にいるけれど、ベースにあるのは恋心で、ふとした瞬間に好きという気持ちがあふれてしまう。千明が思いを伝えるシーンでは、最初から告白しようと決めていたわけではなく、抑えられない衝動があって、つい口に出してしまったわけで、もうずっと“好き”なんです。
そんな恋心を抱えながら、気持ちが離れたり、近づいたりを繰り返す、まるで吊り橋の上にいるようなドキドキ感を作品の中で味わっていました。

――千明を演じるうえで意識したのはどのようなところでしたか?
原作に「昴にとって千明は、笑顔が素敵な一番星のような女の子」という描写があるように、幼いころから昴を引っ張っていく存在なので、エネルギーがみなぎる感じや元気さを大切にしていました。
――昴がスターへの階段を登る中、千明が「私は普通だから」と自分に言い聞かせる場面から、元気さの裏で自己肯定感はあまり高くないのかもしれないという印象を受けました。
きらびやかな芸能界にいる昴を前に、「自分なんか」という気持ちプラス、華やかな世界の裏で努力している昴の姿も知っているからこそ、ちょっとした憧れもあるのかなと感じました。
原作ではそんな千明の葛藤が細かく描かれていて、映画でも「自分なんか釣り合わないでしょ」というセリフが何度か登場するのですが、自分を卑下するヒロイン像というのが目新しくその塩梅を繊細に表現することがすごく難しかったです。

――八木さんが演じた昴を間近でみて、どんなことを感じましたか?
八木さんの昴は本当にまっすぐでピュアでした。思わせぶりな言葉や壁ドンなど、いわゆる“胸キュン”シーンがたくさん登場するのですが、そんな仕草を自然な流れで演じていらっしゃって、マンガの世界から飛び出してきたような昴だなって感じました。