――深見という役柄を演じるうえで意識していることを教えてください。

昭和初期の軍人を忠実に再現するのなら、髪を短く刈り、感情をあまり顔に出さないようにするなどして、演じるべきなのかもしれませんが、原作の中でキャラクターが濃く描かれているので、監督やプロデューサーとお話ししたうえで、今回の深見の佇まいにたどりつきました。

敬礼やお辞儀などは海軍らしく硬くいきたい。だけど、リアルな海軍の世界においてもきちんとしなければいけない場ではきちんと、そして、同期だけの場ではおそらくリラックスした空気もあったと思うので、瀧昌とのかけ合いはくだけた雰囲気で臨むようにしています。

仕草(しぐさ)でいうなら、もともとはなかったポケットを軍服に作っていただいて、そこに手を突っ込んでニヒルな表情を浮かべることで深見の人となりが伝わるようにしています。

さらに、原作のキャラクターを軸に台本プラスαで面白いことをしようとすると、「マジかよ」など現代の口調がつい出てしまいそうになるので、リハーサルで一度解放していろいろと試しつつ、主観的にも客観的にも時代にそぐわない言葉を精査しながら演じています。

深見の笑顔にミステリアスさや余裕を感じてほしい

――容姿端麗で女性にモテる深見をどのような心境で演じていますか?

原作を読んだとき、印象に残ったのは感情のこもっていない深見の笑顔でした。ニヒルというのかもしれないし、彼のいろいろな要素がつまった笑顔…。カテゴライズしにくいんですけど、そこにミステリアスさや余裕を感じてほしいなと思いました。

――深見との共通点があれば教えてください。

深見というのは、原作からも台本からも完璧に論理的な人間だという印象を受けまして、僕自身は感覚的な思考で10代を生きてきて、途中から論理的なものが入ってきた感じなので、完全に一致しているというわけではありません。

――放送を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。

『波うららかに、めおと日和』は、ほんわかとした優しい世界観と、なつ美と瀧昌のピュアな夫婦関係が心地よく描かれている物語。身構えることなく、穏やかな気持ちで見られる素敵なストーリーなので、皆さんの日常にとけ込める作品になったら嬉しいですね。なつ美と瀧昌の夫婦はもちろん、深見の今後にもぜひ注目してください。

撮影:河井彩美